「立地」にこだわって家探しを始めた関西在住のAさん(30代・主婦)Aさん。しかし、ある出会いをきっかけに考え方が変わりました。不人気エリアにあるマンションの“充実すぎる設備”に触れたことで、家選びの軸が大きく揺らいだといいます。
■「立地」が大事だと思って家探しをしていたけれど…
Aさんは幼稚園に通う一人娘と、地元メーカーに勤める夫との3人暮らしです。娘が小学校に入学する前にマイホームを購入しようと、2年前から新築・中古を問わず物件情報を集め始めたそうです。
Aさん夫妻はいずれも実家が戸建てで、屋根や外壁、浄化槽などのメンテナンスや庭の手入れの大変さを間近で見てきたことに加え、駅から徒歩圏内に住みたいという希望があり、マンションを選ぶことはすぐに決まりました。
大変だったのは、そこからの物件選びです。
駅から近く、評判の良い学区にあり、地元でも住環境として人気の高いエリアの新築マンションは、そもそも物件自体がなかなか出てきません。たまに中古物件が出ても、予算が数千万円単位で合わなかったり、狭すぎたり、築50年以上と古かったりして、これだと思える物件にはなかなか出会えませんでした。
「良い条件の物件はネットに出る前に売れてしまうよ」とアドバイスされて不動産会社にも足を運びましたが、「ご希望の条件とご予算では、少しお時間がかかるかもしれません」と、暗に難しいと伝えられることもありました。
娘の小学校入学というタイムリミットも気になり、焦る日々が続いたといいます。
■不人気路線で見つけた意外なマンション
そんな家探しの状況についてママ友に愚痴をこぼしてみたところ「沿線の選択肢をひろげてみたら?やっぱり人気の私鉄だと価格は高いと思う」とアドバイスを受け、これまでだったら個人的に「微妙だからナシ」と思っていた沿線も対象にしてみたAさん。
そこで初めてAさんが知ったのが、ちょっと珍しい付帯設備があるマンションです。
・敷地内に保育所を誘致
・各戸分の収納ロッカーを駐車場の一角に確保
・全戸に対して3日分の水や非常用トイレブースを備えた災害対策
・大手カーシェア事業者と連携した住民専用カーシェア
・電動・子乗せタイプ・カゴ付きなどの多様なシェアサイクル
・住民専用の屋内キッズルーム(安全対策済)
・住民専用のドッグランと足洗いスペース
・24時間利用可能なコワーキングスペースと新聞各紙の設置
・低価格で貸し出される共同菜園と収穫イベントの実施
・ピアノ設置済みの共同防音ルーム
・定期的な住民交流イベントを実施できる広場
…などなど、これまで知らなかった珍しい共同設備が用意されたマンションを見つけることができました。いわゆる「あまり人気のない路線」の各駅停車しか止まらない駅にできる物件で、これまでであればスルーしていたような物件でした。
マンションの規模が大きくなるほど付帯設備も多様になり、価格帯も階数や広さによって選択肢が広がります。
「備蓄用品は自宅で保管すると期限やスペースの問題がありますが、マンション管理組合が管理してくれるなら安心ですし、カーシェアも敷地内にあれば雨の日でも便利ですよね。コワーキングスペースは夫が在宅勤務のときに使えますし、将来娘が受験勉強をする時にも便利そうです。引っ越し後の生活がリアルに想像できました」
引っ越し後の生活を前向きに想像できることは、家探しにおいてとても重要なのかもしれません。これからのマンションにも、さらに多くの新しいアイデアが登場することに期待が高まります。
(まいどなニュース特約・中瀬 えみ)