SUV風のスライドドア車&ファミリー向きSUVは?(提供:norico by ガリバー)
SUV風のスライドドア車&ファミリー向きSUVは?(提供:norico by ガリバー)

本記事ではSUVのかっこよさや走行性能の高さを求めつつ、ファミリー利用やアウトドアでの使い勝手にこだわったSUVテイストのスライドドア車とファミリー向きSUVのおすすめランキングをご紹介しています。ぜひ参考にしてください。

■スライドドアSUVは基本的に存在しない

2025年8月現在、スライドドア搭載のSUVは基本的に存在しません。少なくとも「メーカーからSUVカテゴリで販売されている」「箱型でないボディ」のスライドドア車はありません。

ただし、SUVのデザインや機能性を取り入れたミニバン、軽スーパーハイトワゴンなどは存在し、こうした車を「スライドドアSUV」と呼ぶケースも見られます。

▽スライドドアSUVが存在しない理由

スライドドア搭載のSUVが存在しないのには、以下の理由があります。

・スライドドア搭載では悪路走破性が下がる
・スライドドアでは側面の耐久性が下がる
・スライドドアSUVは製造コストが高い

SUVには悪路走破性が求められますが、面積の大きいスライドドアでは最低地上高を確保しにくく、且つ重量が重くなります。そうすれば、悪路走破性が損なわれます。また、スライドドアはヒンジドアより耐久性が低く、こうした点でも悪路走行に向きません。

さらに、スライドドアもSUVも製造コストがやや高いです。双方を組み合わせれば車両価格がさらに高くなり、ターゲットとなる消費者の家計状況に合わない可能性があります。

▽考えらえる選択肢は2つ

スライドドアSUVは、デザイン性やアウトドアユースを意識したファミリーからのニーズが強いです。この場合、購入する車の選択肢としては以下の2つが考えられます。

・SUV風スライドドア車に乗る
・スライドドアを諦めて普通のSUVに乗る

「SUV風スライドドア車」とは、スライドドア車にSUVのテイストや機能をプラスした、クロスオーバーモデルです。また、スライドドアを諦めればSUVは多くの選択肢があります。

次章から、SUV風スライドドア車とファミリー向きSUVのおすすめ車をご紹介します。

■SUV風スライドドア車おすすめ8選

SUV風スライドドア車(国産車・外車)でお勧めするのは以下の8車種です。

※車両情報は2025年9月11日時点のガリバー「車カタログ」より引用。
※MPVとはMulti Purpose Vehicleの略です。

▽(1)スズキ「スペーシアギア」

・新車時価格:195.2万円~207.2万円
・サイズ:全長3395mm×全幅1475mm×全高1800mm
・最低地上高:150mm
・WLTC燃費:19.8~23.9km/L

スペーシアにSUVテイストを加えたスペーシアギア。2024年9月に2代目が登場。現行モデルはクラストップレベルの安全性能と燃費性能を有しています。また、後席にUSB電源やアームレストが付き、さらにオットマンにもなるマルチユースフラップを備えるなど、快適性は抜群です。コスト重視なら、中古で初代モデルを買うと良いでしょう。

▽(2)ダイハツ「タントファンクロス」

・新車時価格:177.6万円~202.4万円
・サイズ:全長3395mm×全幅1475mm×全高1785-1805mm
・最低地上高:150-165mm
・WLTC燃費:18.2~21.9km/L

タントをベースにSUVテイストを加えたタントファンクロス。スペーシアギアとは方向性の異なるデザインを有しています。

タントシリーズ最大の魅力はミラクルオープンドア。助手席と後部座席の間に柱(ピラー)がなく、双方の扉を開ければ大開放空間が生まれます。車内を休憩所に、花見や花火を楽しむ人もいるようです。

▽(3)三菱「デリカミニ」

・新車時価格:183.7万円~227.2万円
・サイズ:全長3395mm×全幅1475mm×全高1800-1830mm
・最低地上高:155-160mm
・WLTC燃費:17.5~20.9km/L

デリカミニは、軽自動車のSUV風スライドドア車の中でもSUVに近い悪路走破性を有した一台です。坂道でのずり下がりや急加速を防ぐ装備、滑りやすい道での発進をサポートする装備を全車で備えています。

さらに、人気の高い4WD車では、大径タイヤと専用開発のショックアブソーバーを採用。高い走行安定性で悪路を走り抜けます。

▽(4)三菱「eKクロススペース」

・新車時価格:-(生産終了)
・サイズ:全長3395mm×全幅1475mm×全高1780-1800mm
・最低地上高:150-155mm
・WLTC燃費:16.4~20.8km/L

eKクロススペースは、デリカミニの前に販売されていたSUVテイストの軽スーパーハイトワゴンです。デリカミニの発売に伴い、生産終了となりました。

デリカD:5を思わせる迫力系のフェイスで高い走行安定性を備え、さらに上位グレードでは先進運転支援システム「マイパイロット」を装備。現在は中古でしか買えませんが、実力の高い車としておすすめの一台です。

▽(5)ホンダ「フリード(クロスター)」

・新車時価格:292.8万円~360.2万円
・サイズ:全長4310mm×全幅1720mm×全高1755-1780mm
・最低地上高:135-150mm
・WLTC燃費:14.4~25.5km/L

フリードはコンパクトカーより一回り大きい程度のミニバンです。クロスターと呼ばれるモデルがSUVテイストに仕上げられており、特に5人乗りはアウトドア仕様の装備が多く備わっています。車中泊も楽にできる一台です。

なお、クロスターでは3列6人乗りも選べます。デザインが好みでない場合は中古で先代モデルを選んでも良いでしょう。

▽(6)三菱「デリカD:5」

・新車時価格:422.3万円~479.9万円
・サイズ:全長4800mm×全幅1795mm×全高1875mm
・最低地上高:185mm
・WLTC燃費:12.6km/L(ディーゼルのみ)

現在、最も「スライドドアSUV」に近い存在はデリカD:5だと考えられます。スライドドアを有していながら最低地上高が185mmと高く、充分な悪路走破性を有しています。

7~8人乗りで、車内も充分すぎるほどに広いですが、全長4800mmと一般的なMクラスミニバンより大きいです。また、車両価格がやや高く、燃費もあまり良くない点を留意しましょう。中古でも人気の一台です。

▽(7)ルノー「カングー」

・新車時価格:409万円~429万円
・サイズ:全長4490mm×全幅1860mm×全高1810mm
・最低地上高:164mm
・WLTC燃費:19.5~19.6km/L(ディーゼルの場合)

カングーは最低地上高が164mmと国内の一般的なミニバンより高いです。また、エクステンデッドグリップ(走行モード切替機能)を備え、オールシーズンタイヤも装着しています。

積載性の高さも魅力で、SUV風スライドドア車に準ずる車として充分な力の持ち主です。ただし、スライドドアが手動である点は注意してください。

▽(8)プジョー「リフター」

・新車時価格:448万円~468万円
・サイズ:全長4405-4760mm×全幅1850mm×全高1855-1875mm
・最低地上高:180mm
・WLTC燃費:18.1km/L(ディーゼルのみ)

リフターはSUVの要素を取り入れたMPVであり、スライドドア車ながら最低地上高が180mmと非常に高いです。また、アドバンスグリップコントロール(走行モード切替機能)により、悪路でも走行安定性を高めることができます。5人乗りと7人乗りのモデルがあり、モデルによって全長が大きく異なります。

■ファミリー向きSUVおすすめ4選(スライドドアなし)

ファミリー向きのSUVとしておすすめの車は、以下の4車種です。3列シート車もあります。

※車両情報は2025年9月11日時点のガリバー「車カタログ」より引用。

▽(1)トヨタ「カローラクロス」

・新車時価格:276万円~368.9万円
・サイズ:全長4455mm×全幅1825mm×全高1620mm
・最低地上高:160mm
・WLTC燃費:24.6~26.4km/L

カローラクロスは一般的なSUVと比べて最低地上高がやや低め。子どもでも、少し成長してきた子なら自分で乗り降りしやすいでしょう。

また、カローラクロスはコンパクトSUVの中では大きめのサイズで、適度な広さと運転のしやすさを兼ね備えています。2025年4月からハイブリッド車のみの販売となったため、ガソリン車が良い場合は中古で購入しましょう。

▽(2)スバル「フォレスター」

・新車時価格:404.8万円~459.8万円
・サイズ:全長4655mm×全幅1830mm×全高1730mm
・最低地上高:220mm
・WLTC燃費:13.6~18.8km/L

ファミリーやアウトドア好き、車好きから高い支持を得ているフォレスター。安全性や走行安定性、積載性の高さなどが魅力の一台です。2025年4月にフルモデルチェンジし、ストロングハイブリッドモデルが導入されました。

後席のドアは横にしっかり開き、乗降性は悪くありません。さらに、スバル車は酔いにくいことでも定評があり、小さな子どもを乗せる場合に比較的安心です。やや高価な車なので、中古で先代モデルを購入しても良いでしょう。

▽(3)日産「エクストレイル」

・新車時価格:360.1万円~533.3万円
・サイズ:全長4660-4675mm×全幅1840mm×全高1715-1720mm
・最低地上高:185-200mm
・WLTC燃費:18.3~19.7km/L

エクストレイルは最低地上高が比較的高い車ですが、グレードによっては防水シートの設定が可能です。子どもの飲みこぼしなどを拭き取りやすく、嬉しいオプションでしょう。

ドアもしっかり真横まで開くため、子どもの乗せ降ろしも楽です。さらに、現行モデルは全車e-POWER(ハイブリッドシステム)搭載で、燃費性能も優れています。

先代モデルにも防水シートやe-POWERモデルがあるので、コスト重視の場合は中古車もチェックしてみてください。

▽(4)マツダ「CX-80」

・新車時価格:394.4万円~712.2万円
・サイズ:全長4990mm×全幅1890mm×全高1705-1710mm
・最低地上高:170mm
・WLTC燃費:16.8~19.2km/L(ディーゼルの場合)

3列シート7人乗りSUV「CX-8」の後継モデルとして投入されたCX-80。CX-8よりも3列目の居住性が高く、ウィンドウ面積の拡大やリヤエアコンの設置、ヘッドルームの拡大など多数の工夫が施されています。

パワートレインの選択肢も豊富ですが、CX-8より全体的に価格が上がっているため、予算オーバーの場合は中古でCX-8を探してみると良いでしょう。

■今後スライドドアSUVは登場する?

スライドドアSUVが、近い将来発売されるというニュースはありません。現時点では三菱のデリカD:5が最もスライドドアSUVに近い存在と考えられますが、コストの高さやニーズの観点から、他社がライバル車を出す様子もない状況です。

しかし、過去のモーターショーなどではコンセプトカーとしてスライドドアSUVが登場しています。そのため、将来的にスライドドアSUVが発売される可能性もあります。

▽トヨタの「Tjクルーザー」にも注目

トヨタは過去にコンセプトカーとして「Tjクルーザー」を発表しています。この車は、まさにクロスカントリーSUVのようなボディにスライドドアを搭載したモデルです。2017年の登場から現在まで発売はされていませんが、いつか販売が実現するかもしれません。

なお、トヨタ自動車グループのアイシンは、すでにSUV用のスライドドア技術開発に成功しています。

■スライドドアSUV関連のQ&A

▽Q. SUV風スライドドア車のメリットは?

・スライドドア搭載で利便性が高い
・SUVに比べて車内が広い
・SUV風のデザインを楽しめる
・多少の悪路走破性を備えている場合がある

通常のスライドドア車の利便性に加え、SUV風スライドドア車であれば「アクティブ」「スポーティ」といった印象のデザイン性を楽しめます。また、車種によっては最低地上高が高めに設定されており、悪路走破性を有しています。

▽Q. SUV風スライドドア車のデメリットは?

・箱型のボディからは抜け出せない
・SUVと比べて走行性能が低い

今日のSUV風スライドドア車は、どの車種もミニバンや軽ワゴンといった箱型の車です。そのため、SUVのようなスポーティな外観ではありません。また、車重が重いのでSUVより走行性が劣り、悪路走破性を有していないモデルも多いです。

▽Q. ファミリー向きSUVの選び方のポイントは?

ファミリー向きのSUVを選ぶ際には、以下のポイントに着目しましょう。

・チャイルドシートの載せやすさ
・子どもの乗せやすさや酔いにくさ
・後席のヒンジドアの開き方(角度)
・積載性の高さや荷物の載せやすさ

子どもが小さいほど、チャイルドシートの設置やベビーカーなどの搭載、また子どもの乗せやすさ・酔いにくさ、お世話のしやすさなどを多くの点を意識する必要があります。

なお、ヒンジドアの場合は「ドアがどれだけ開くか」が乗降性の一つの目安になります。

▽Q. ファミリーカーに中古車はおすすめ?

子どもが小さいうちや、決まった年数しか乗らない場合には、中古車でファミリーカーを買うのもおすすめです。中古車であれば、新車よりはジュースの飲みこぼしや泥汚れなどが気になりにくいでしょう。

ただし、年式があまりに古い車を買うと安全性能が心許ないので、予算と安全性のバランスを踏まえて選ぶことをお勧めします。

(まいどなニュース/norico)