大きなエビフライ  一匹よばれっかな♪....YouTubeチャンネル「最強ばあちゃんときどき玄孫」より
大きなエビフライ 一匹よばれっかな♪....YouTubeチャンネル「最強ばあちゃんときどき玄孫」より

96歳の「最強ばあちゃん」こと千代さんが、70代の次女の嫁ぎ先を訪ね、次女の姑にあたる94歳の女性と野菜談義などに花を咲かせる“90代女子会”の様子を紹介したYouTube動画が話題を集めています。

動画には、テーブルに並べられたご馳走や自家栽培の野菜を囲みながら語り合う2人の姿が映されており、お互いに料理を取り分けたり、ワサビを小皿に入れてあげたりと、互いを気遣い合う様子も印象的です。

■半年ぶりの再会に…盛り上がる“90代女子会”

この日は久しぶりにお姑さんに会えたので、2人とも嬉しそう。

次女の恵子さん(71歳)は千代さんの家にちょいちょい顔を出すのですが、恵子さんのお姑さんとは半年ぶり以上の再会だったので、オードブルやお寿司、お姑さんの育てたそら豆など新鮮な野菜がテーブルに乗りきらない程たくさん並べられ、お姑さんも「何だ今日は?」とびっくり。千代さんも「すごいご馳走」と嬉しそうです。

それぞれ畑で野菜を育てているお二人は、育てている野菜の成長具合など農作業について話が弾みます。

「じゃがいも全部起こしちゃった(掘った)んだよオレ。明日から入梅だって言うから」と言うお姑さんに「全部起こしちゃったの!1人で!?」とびっくりする千代さん。

今年きゅうりの芽がダメになった為、また種を撒き直したというお姑さんの話に千代さんも「今年は何を撒いても出が悪くって」と畑作りの苦労話で盛り上がります。

千代さんがお姑さんのやり方を聞いて参考にしている様子も微笑ましく、同世代の二人だからこそ互いに理解し合える和やかな会話に、「おばあちゃん二人の会話が可愛すぎる」「癒される」「ずっと聞いていたい」「亡くなった祖母を思い出してキュンとした」など、多くのコメントが寄せられています。

■96歳の日常をありのままに発信

この動画が公開されたのは、YouTubeチャンネル「最強ばあちゃん ときどき玄孫(やしゃご)」です。このチャンネルでは、1928年(昭和3年)生まれで茨城県在住の千代さん(96歳)を中心に、家族や孫、曾孫、玄孫たちとの日常がありのままに発信されています。

厚生労働省「令和6年簡易生命表」(2024年分)によると、日本人の平均寿命は男性81.09歳、女性87.13歳とされており、96歳の千代さんの年齢はその平均を大きく上回ります。千代さんは現在も、自分の身の回りのことはもちろん、訪ねてくる孫や曾孫、玄孫たちの食事の用意から、500坪もの畑仕事までこなす、まさに“スーパーばあちゃん”です。

撮影を担当しているのは、曾孫の唯さん(26歳)。動画編集などはその弟・航さん(21歳)が手伝っています。2022年に配信を開始して以来、心温まる動画が国内外で人気を集め、現在チャンネル登録者数は14万人を超えています。

唯さんはかつて幼少期に千代さんと一緒に暮らしていた時期があったそうですが、ある時、その暮らしの中で千代さんが自分にしてくれたことを完璧には覚えてないことに気がついたそうです。そこから「自分の子どもたちにも、こんな“すごいばあちゃん”がいたことをしっかり記憶に残してほしい」という思いで、チャンネルを始めたといいます。

■戦後は苦労の連続 3カ月の長男を亡くしたことも

千代さんは現在、長女と孫との三人暮らし。近くに住む孫や曾孫たちの家族とも行き来があり、大家族に囲まれた穏やかな日々を過ごしていますが、10代後半には太平洋戦争(1941~1945年)による激しい空襲を経験するなど、厳しい時代を生き抜いてきました。

終戦後、21歳で夫・二郎さんと結婚。当時は食料も満足に手に入らず、飢えをしのぐために雑木林を開墾してサツマイモを育てるなど、苦労の連続だったといいます。当時の住まいはバラック小屋で、生まれた長男をわずか3カ月で亡くすという悲しい経験もありました。なお、二郎さんとは1991年に66歳で亡くなるまで連れ添いました。

そんな苛酷な半生を生き抜いてきた千代さんは、現在どんな思いで日々を過ごしているのでしょうか。お忙しい中、取材に応じてくれました。

そんな半生を生き抜いてきた千代さんは、現在どんな思いで日々を過ごしているのでしょうか。お忙しい中、取材に応じてくれました。

■【千代さんインタビュー】「ただのばあさまなのに、こんな経験ができて…」

--曾孫さんからYouTubeを始める話を聞いたときから、今のような人気チャンネルになるまで、どのような心境の変化がありましたか?

千代さん「始めた当初は、自分がテレビに映るなんて思ってもみなかった。それが今ではこんなに多くの方に見てもらって、嬉しい気持ちや楽しい気持ち」

--今の千代さんにとって、YouTubeとはどんな存在ですか?

「ただのばあさまなのに、こんな経験ができて本当に幸せ!一生の宝物!」

--現在の暮らしの中で、一番楽しいこと、好きなことは何ですか?

「ただひ孫や玄孫と会話することが最高に楽しい!本当は仕事することが大好きだから、いっぱい働きたいのよ。でも、今は体がこわい(疲れる)からできない」

--戦前・戦後から平成・令和までの激動の時代を生き抜いてこられましたが、今いちばん強く思っていることは何ですか?

「平成、令和になってから日本が平和になったことがとにかく良かった。昔は兵隊だ、空襲だ、なんだ、って亡くなった方がいっぱい。今の日本が平和なのは本当に幸せなこと。戦争は絶対にやったらダメだ」

--現代の若い世代に一番伝えたい事があれば教えて下さい。

「人は曲がったことをせず、正直に生きればいい。何より『人に優しくすること』が大切。普通の気持ちでまっすぐ生きていくこと、それが一番大事!」

   ◇   ◇

千代さんのまっすぐで力強い言葉には、戦争や貧困といった時代を乗り越えてきた逞しさがにじみ出ています。今の「平和な時代」も、千代さんの目には決して「当たり前のこと」ではなく、深く感謝すべき尊いものとして映っていることが伝わってきました。これからも無理せず、いつまでも元気な姿を見せて頂きたいと思います。

(まいどなニュース特約・道草クイーン)