高齢者マークを付けないで運転すると違反になる? ※画像はイメージです(xiaosan/stock.adobe.com)
高齢者マークを付けないで運転すると違反になる? ※画像はイメージです(xiaosan/stock.adobe.com)

75歳のAさんは、現役の会社員です。仕事では部下に的確な指示を出しつつ、自身も営業先に出向いて新規契約を取りに行く頼れる存在です。その働きぶりや見た目の若々しさから、部下や得意先に年齢を言うと「Aさんは60歳くらいだと思ってた!」と驚かれることも多々あります。

プライベートでは、昨年新しいコンパクトカーを購入し、見た目や運転ぶりからも衰えを感じさせることはありません。しかし年齢を考えたAさんの息子は「後期高齢者なんだから、高齢者マークを付けないと」と助言します。しかしAさんは「見栄えが悪いから嫌だ」と付けたがりません。

Aさんのように、高齢者であっても高齢者マークをつけない場合、違反にならないのでしょうか。千葉県で警察官として20年以上勤め、現在はサービス業を起業して活動している笹岡健司(仮名)さんに聞きました。

■高齢者マークを付けた車への幅寄せや割込みは違反

ー高齢者は、高齢者マークを付けないと違反になりますか。

結論から申し上げて、努力義務であるため違反にはなりません。

道路交通法第71条の5第4項には70歳以上の方に対し「加齢に伴つて生ずる身体の機能の低下が自動車の運転に影響を及ぼすおそれがあるときは、(中略)普通自動車の前面及び後面に内閣府令で定める様式の標識を付けて普通自動車を運転するように努めなければならない」とあるように、義務ではありません。

ー高齢者マークを付けていない高齢者が事故やトラブルに巻き込まれた場合、責任や扱いはどうなるのでしょうか。

努力義務であるため、付けていないことによる高齢者の方への不利な決まりはありません。

ただし、高齢者マークを付けた車へは周囲の方が配慮する必要があります。危険防止のためやむを得ない場合を除き、高齢者マークを付けた車に幅寄せや割込みをすると、普通車であれば6000円の反則金、点数は1点の違反となります。

ー高齢者が安全に運転するために、どのようなことに気を付ければ良いでしょうか。

高齢になると「自分はまだ大丈夫」と思っていても、知らず知らずのうちに加齢による判断能力や身体機能の低下によって思ったような運転ができなくなり、事故に繋がることもあります。

交通事故は、いつ何時、被害者にも加害者にもなり得ます。万一に備え、高齢者マークを付けて周囲の方にも認知してもらいながら注意深く安全運転してみてはいかがでしょうか。

(まいどなニュース特約・長澤 芳子)