北海道内での移動は長距離になることが多い(横山了一さん提供)
北海道内での移動は長距離になることが多い(横山了一さん提供)

子どもの頃から当たり前だったことが、他の地域ではまったく違うというギャップを体験したことはないでしょうか。自分が当たり前と思ってやっている行動が「それ、普通じゃなかったの?」と驚く瞬間は、誰にでも一度はあるはずです。

漫画家の横山了一さんがX(旧Twitter)で投稿した作品『北海道は異世界なのかもしれない』は、まさにそんな文化の違いをテーマに描き話題となっています。

横山さんの生まれは北海道釧路市。大学時代は札幌で過ごしていたため、釧路の実家へ帰省したと話すと、「ついでに札幌に寄らなかったの」と言われることもあるといいます。しかし、釧路と札幌の距離は約330キロ。東京から名古屋ほど離れており、「ついで」で寄れる距離ではないと思うのでした。

そんなある日、釧路の実家からイクラが届きます。うれしくてご飯に大量にかけて食べていると、貴重なイクラを実家の時のような感覚で食べるなと妻から注意されたそうです。実家では当たり前に冷蔵庫に常備されていた食材だったイクラも、道外では高級品。ここでもまた、北海道との食文化の違いを感じたといいます。

また、神戸出身の妻は、実家で料理を食べる時のカレーが神戸牛、すき焼きも牛肉なのを見て、横山さんの実家では豚肉が多かったことでもカルチャーショックを受けたといいます。さらに、神戸から大阪へ行く際に電車であっさり県越えできることにも驚いたのだとか。北海道民にとって、県越えは容易にできない環境のため、衝撃だったようです。

北海道の不思議な「当たり前」を描いた同作について、作者の横山了一さんに話を聞きました。

■北海道には柿の木やキンモクセイがない

ー釧路ではイクラは普通に食卓に出るものだったのでしょうか?

はい。実家では常に冷蔵庫には魚卵のストックがありました。たらこ、すじこ、いくら…とびっこまで豊富にあるのが普通でした。

ーあまり使われない牛肉はどのような時に出ていたのでしょうか?

牛肉は焼肉のときはしっかり食べていました。ただジンギスカンなどの選択肢もあるので、他の地域よりはバラエティに富んでいるかもしれませんね。

ーカルチャーショックは他にも?

北海道には柿の木やキンモクセイがないんです。そういった生態系の違いなども上京してびっくりしましたね。

ー逆に北海道で暮らしていた頃と今とで、価値観が変わったことは?

東京の暑い夏を過ごしているうちに、気温30度くらいなら快適だなと感じるようになってしまいました…。

(海川 まこと/漫画収集家)