賞与の手取りが「思ったよりも少ない」と感じたことはないでしょうか。東京都に住むAさん(35歳男性)は、毎月の給与から社会保険料が控除されているのに、なぜ賞与からも控除されるのか気になっていました。
このことを会社の先輩に相談したら、昔は賞与から社会保険料が控除されていなかったことを教えてくれました。ただ、いつから控除されるようになったのか聞いてみても、先輩はよく分からないようです。
このような賞与から保険料控除が始まったのはなぜなのでしょう。そしていつから始まったのでしょうか。社会保険労務士の小島朋子さんに聞きました。
■理由は少子高齢化の兆し
─賞与から社会保険料が引かれるようになったのはいつからでしょうか?
1972年(昭和47年)の厚生年金法の改正により、賞与にも保険料がかかる仕組みが導入されました。同年における賞与の特別社会保険料率は、健康保険料率が0.8%、厚生年金保険料率が1%でした。
2003年(平成15年)4月から特別保険料を廃止し、新たに賞与についても毎月支払われる給料と同じ保険料率を適用するという、いわゆる「総報酬制」が導入されることになりました。
─なぜ賞与も社会保険料の対象になったのですか?
1972年当時、少子高齢化の兆しがあることと、給与に比べて賞与の割合が多くなり、保険料収入が減る懸念があるため、特別保険料をかけることとなりました。
2003年、保険料徴収対象を拡大する目的と、月収を抑えて賞与を増額し保険料負担を免れるという現象を回避するため、そして、老齢厚生年金の年金額に賞与にかかる保険料の納付実績が反映されるように制度改正されました。
─賞与からどのくらい社会保険料が引かれるのか、自分で計算する方法はありますか?
上記の35歳の男性の場合、東京の協会けんぽ加入で2025年12月に賞与支給だと仮定し、
健康保険料 450000円(1000円未満切り捨て)×4.955%(被保険者負担分)=22,297円
厚生年金保険料 450000円(1000円未満切り捨て)×9.15%(被保険者負担分)=41,175円
仮に40歳以上の場合はこれに介護保険料が控除されます。健康保険組合に加入の場合は、各組合にお問い合わせください。
◆小島朋子(こじま・ともこ)社会保険労務士/社会保険労務士事務所ホライズン代表
千葉県を拠点に活動する社会保険労務士です。障害年金の代理請求を中心に、法人向けには労務に関する各種ご相談、給与計算業務や給与ソフトの導入・設定確認を承っております。会社と人との良好な関係を築くためのサポートをいたします。
(まいどなニュース特約・八幡 康二)
























