夫婦生活が無くなり離婚を考えるほどの危機状態に ※画像はイメージです(taka/stock.adobe.com)
夫婦生活が無くなり離婚を考えるほどの危機状態に ※画像はイメージです(taka/stock.adobe.com)

40代のAさんは、小学生の息子と妻の3人で暮らしていますが、家庭で深い孤独感に悩んでいました。息子が生まれてからの8年間、妻とは寝室こそ同じですが、2人の間には常に息子が眠っており、夜の営みは皆無でした。

結婚記念日の夜、Aさんは冷え切った関係を修復しようと決心し、プレゼントとして高価な指輪を用意しました。しかし妻は喜ぶどころか、「こんな無駄遣いをする余裕があるなら教育費に回してほしい」と冷たく言い放ち、受け取りさえ拒否したのです。

その夜、Aさんが勇気を出して布団の中で妻の手に触れようとすると、彼女はまるで汚いものでも払いのけるかのように、その手を振りほどきました。そんな妻の仕打ちによって、Aさんの自尊心は深く傷つきました。ただの同居人、あるいは給料を運ぶだけの存在になったと感じたAさんは、離婚を考えるほどでした。

Aさんは妻との関係を改善することはできるのでしょうか。夫婦関係修復カウンセリング専門行政書士の木下雅子さんに聞きました。

■離婚事由にはなるものの…

ー長期間セックスレスやスキンシップ拒否が続く妻の心理的背景には、どのような原因が考えられますか?

よく耳にするのは、家事・育児・仕事に追われて疲労困憊しており、「性欲よりも睡眠欲が勝っている」状態です。やっと子供が寝て自分も休めるという時に夫から誘われると、「私の睡眠時間を奪わないで」という怒りすら湧いてしまうのです。

また、出産後の「子供を守る本能」が強く残っている場合や、産前産後に夫から受けた言動への恨み(産後の恨みは一生と言われます)、あるいは過去のセックスで痛い思いをした経験などが、生理的な嫌悪感として定着してしまっている可能性もあります。

ースキンシップを再開するためには、どのような段階を踏む必要がありますか?

まずはベッドの中での解決を目指すのではなく、「心の距離」を縮めることから始めてください。夫がやりがちな「機嫌取りの花束やケーキ、高価なプレゼント」は、妻にとっては「無駄遣い」「忙しいのに花瓶を探させる気か」と逆効果になることが多いです。

それよりも、妻の話をしっかり聞く、家事や育児を担って妻の自由時間や睡眠時間を確保する、料理を作ってくれたことに感謝するなど、妻にとって家庭を「安心安全な場所」にすることが先決です。心が満たされ、体力的にも余裕ができれば、自然と拒絶反応も和らぐ可能性があります。

ーどうしても改善が見られない場合、離婚という選択肢をどう考えるべきですか?

法的には、長期間のセックスレスは離婚事由として認められる可能性があります。しかし、それだけで即座に離婚を決めるのは短絡的かもしれません。

なぜなら、妻の拒絶行動は「もっと私の気持ちを分かってほしい」「話を聞いてほしい」というSOSの裏返しである場合も多いからです。もし離婚調停などの場になれば、妻から全く別の本音が飛び出してくることもあります。

後悔しないためにも、まずは第三者やカウンセラーに相談し、妻の本当の不満の正体を見極めてから判断することをお勧めします。

◆木下雅子(きのした・まさこ)
行政書士、心理カウンセラー 大阪府高槻市を拠点に「夫婦関係修復カウンセリング」を主業務として活動。「法」と「心」の両面から、お客様を支えている。

(まいどなニュース特約・長澤 芳子)