「2030年代後半に国内のコメ需要を国産米だけで賄えなくなる可能性がある」。コメ卸業者でつくる全国米穀販売事業共済協同組合(全米販)は一昨年に独自予測を公表し、警鐘を鳴らした。生産者の減少は歯止めがきかず、兵庫県でも急速に進む。今回の衆院選では、店頭からコメがなくなった「令和の米騒動」を二度と繰り返さない食料安全保障のあり方も問われている。(長尾亮太)
全米販は24年3月に「米穀流通2040ビジョン」を公表。人口減少やコメ離れなどを踏まえ、40年時点のコメの国内需要量を20年より41%少ない375万トンと推計した。一方、高齢化による離農と新規就農者の減少とともに、生産量の減少は加速。最悪の場合、40年に363万トンと20年から半減し、国内だけでは需要を賄えなくなるとした。
コメ農家は20年の85万人から、40年には約30万人にまで減ると予測。大多数を占める小規模農家が赤字を出しながら生産していると指摘し、「黒字化には(生産コストが下がるように)経営体の規模を拡大する必要がある」と訴えた。
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「『高齢でもう農業を続けられないので田んぼを耕してほしい』という依頼が次々と舞い込むようになった」。兵庫県上郡町の52ヘクタールでコメなどを作る大規模農家、大長利英さん(53)は語る。生産者の減少は、県内のコメ作りの現場にも影を落とす。
農林水産省によると、県内で農業を主な仕事とする「基幹的農業従事者」のうち、コメを作る人は20年時点で2万8千人と、5年間で10%減った。40年に中心となる50代以下は11%にとどまり、生産者の急減が見込まれる。10年後の後継者が決まっていない農地も県内の25%に上る。
「従来の生産方式では農業の持続的な発展や食料の安定供給を確保できない」として、国や県は大規模農家への農地の集約や、デジタル技術を活用する「スマート農業」の普及に力を入れる。
県農業経営課は「今後は少ない人数で農地や農業生産を守っていく必要がある。全てを大規模農家や集落営農法人が担うのは難しく、条件が不利な地域などで農業を続ける兼業農家らもしっかり支えたい」としている。























