ぐるっと一回りをして、顔を出すあんみつちゃん(「猫は液体」さん提供、Xよりキャプチャ撮影)
ぐるっと一回りをして、顔を出すあんみつちゃん(「猫は液体」さん提供、Xよりキャプチャ撮影)

「注射が怖くてコートの中に潜り込む猫」…そんな一文とともにXに投稿された動画が、多くの人の心をつかんだ。

映っているのは、ブリティッシュショートヘアのあんみつちゃん(6歳)。病院での注射を前に、飼い主の「猫は液体」さん(@jirosan77)のコートの中に潜り込み、ぐるりと一周して元の位置に戻ってきてしまう姿が、まるで“ウエストポーチに入った猫”のようだと話題になった。

「可愛すぎる」「お尻がたまらない」「頑張れあんみつちゃん」…リプライ欄には、応援と癒やしの声があふれている。

■実は“かわいい動画”の裏に、長い通院生活があった

あんみつちゃんは、子猫の頃から歯茎の炎症に悩まされてきた。

飼い主の「猫は液体」さんによると、「猫は体質的に歯肉炎になりやすい子が多いんです」とのこと。2024年12月(約1年半前)からは、関節炎の治療薬を応用した新薬を、月に1回の注射で投与する治療が始まった。

「関節炎の薬が、歯茎の炎症にも効くことがわかってきたんです。実際、あんみつにも効果がありました」

その後も症状は安定しており、現在も月1回の通院と注射を続けながら、状態をコントロールしているという。

■病院を“完璧に覚えている”猫

しかし、あんみつちゃんにとって病院は、どうしても怖い場所だ。キャリーを出した瞬間から逃げる態勢に入り、病院の匂いや空気をしっかり覚えているという。

「隠れられる場所があれば、誰のコートでも入ります。僕でも、母でも関係ないです」

今回の動画では、「猫は液体」さんが一人で連れて行ったが、あんみつちゃんは、母親の時と同じようにコートの中へ。

「いつものことなので、“やっぱりな”という感じでした」

しかも最近は、だんだん暴れ方が激しくなっているという。

「毎回行くことで、逆に学習しているみたいで…。猫って想像以上に賢いですね」

■それでも治療をやめない理由

注射は怖い。でも、歯の炎症が悪化すると、食べられなくなってしまう。

「食欲が落ちると体力も落ちる。猫にとって“食べること”は生きる力そのものなので…」

歯が痛くなる → 食べられない → 体力が落ちる → 病気に負けやすくなる。その悪循環を断つため、月1回の注射を続けている。

「かわいそうだけど、あんみつが長く元気でいるために必要なんです」

■「猫はしゃべれない」からこそ

「猫は液体」さんが、同じように病院が苦手な猫と暮らす飼い主に伝えたいことがある。

「猫は“痛い”とか“しんどい”って言えません。だからこそ、日頃の様子をよく見てあげてほしい」

少し元気がない、食べ方が変、口を気にする…そうした小さな変化に気づくことで、大きな病気になる前に対処できる。

「怖がるから連れて行かない、ではなく、苦手でも“連れて行くことが愛情”だと思っています」

最近は猫専門の動物病院も増えてきており、犬の鳴き声に怯えることなく診察を受けられる環境も整いつつある。

■“コートの中の勇気”

注射が怖くて、コートの中に隠れながらも、それでも治療を受けるあんみつちゃん。その姿は、ただかわいいだけではなく、小さな体で生きるために頑張っている証でもある。

今日もきっと、あんみつちゃんは、コートの中から世界をうかがいながら、“ちゃんと生きる”ための一歩を踏み出している。

 ◇  ◇

「猫は液体」さんのおうちには、あんみつちゃんをはじめ、みかんちゃん(8歳)、ぽてとくん(7歳)、てんぷらくん(6歳)、とんかつくん(4歳)が一緒に暮らしています。

(まいどなニュース特約・渡辺 晴子)