第51回衆議院議員総選挙において、高市早苗首相率いる自由民主党は、単独で全議席の3分の2を超える316議席を獲得するという歴史的な圧勝を飾った。この結果は、昨年から続いた「少数与党」による政治的混迷に終止符を打ち、日本政治が「高市一強」とも呼ぶべき強固な安定期に入ったことを意味している。この劇的な変化に対し、日本の最重要同盟国である米国は、極めて好意的、かつ戦略的な観点から注視している。
第2次トランプ政権下にある現在の米国にとって、重要事項の1つに米中対立下における同盟国の安定がある。前回の参議院選挙以来、自公政権が過半数を割り込み、政策遂行能力を削がれていた状況を、米国側は「日本の政治的脆弱性」として懸念を抱いていた。かつての「決められない政治」への回帰は、日米同盟に基づく機動的な政策決定を阻害するリスクがあったからだ。
今回の自民党の歴史的勝利により、高市政権は衆議院における圧倒的な主導権を確保した。米国のベッセント財務長官がいち早く「日本が強ければ、米国もアジアに強固な立場を築ける」と祝意を表明した事実は、ワシントンが抱いていた政治的不透明感への不安がいかに大きかったかを物語っている。高市政権が責任ある積極財政や防衛力の抜本的強化を掲げ、それを実行できる強力な政治基盤を手にしたことは、米国にとって東アジアの安定を担保する最大の好材料と映っている。
米国が今回の結果を歓迎するもう一つの大きな要因は、高市首相とトランプ大統領の個人的な親和性にある。高市首相の政治信条や安全保障に対するタカ派的スタンスは、かつてトランプ氏と蜜月関係を築いた安倍晋三元首相の路線を強く想起させる。米国側には、高市氏が掲げる自律的な防衛力の強化が、トランプ政権の求める「同盟国による負担増分担」と合致するとの期待が根強い。
かつての「安倍・トランプ時代」のように、トップ同士が個人的信頼関係に基づき、重要課題を迅速に処理していく政治スタイルが再来する可能性は高い。高市氏の「勝負師」としてのリーダーシップが、予測不可能なトランプ外交に柔軟に対応しつつ、日米関係をさらなる深化へ導くかも知れない。
もっとも、米国が寄せる期待は、日本にとってより重い責任と同義でもある。政治的脆弱性を言い訳にできないほどの盤石な基盤を得た高市政権に対し、米国は今後、防衛費の増額のみならず、先端技術分野における中国への封じ込め策や、インド太平洋地域におけるより積極的な軍事的貢献を加速させるよう求めてくることもあり得よう。
米国は今、高市政権、日本を単なる同盟国ではなく、世界の秩序を守るための強力なパートナーとして位置づけている。歴史的な圧勝を経て、高市一強時代が本格的に始動した今、日米関係はこれまでにない協力と、それに見合う重責を伴う新局面へと突入したのである。
◆和田大樹(わだ・だいじゅ)CEO, Strategic Intelligence Inc. / 代表取締役社長 専門分野は国際安全保障論、国際テロリズム論、経済安全保障、地政学リスクなど。海外研究機関や国内の大学で特任教授や非常勤講師を兼務。また、国内外の企業に対して地政学リスク分野で情報提供を行うインテリジェンス会社の代表を務める。























