2025年7月17日、夜8時。住宅街に切迫した子猫の鳴き声が響き渡りました。声の主は、生後わずか2カ月ほどの男の子「爽太(そうた)」くん。当時、体重はわずか500グラムしかありませんでした。
首元は重度の皮膚炎でただれ、夏の熱いアスファルトで焼かれた後ろ足には水ぶくれが--。そんな絶望の淵にいた爽太くんを救ったのは、のちの飼い主となるXユーザー・かまねこさん(@kamaneco)、そして先住猫の「声」だったといいます。
■保護猫たちと暮らす飼い主さんに新たな出会い
飼い主さんの家には、すでに4匹の猫が暮らしていました。驚くことに、その全員が自ら保護した猫たち。
「“NNN”にロックオンされているのか、次から次へと猫が来るんです」と飼い主さんは笑いますが、これほど小さな子猫がやってきたのは初めてのことでした。
「テレビを見ていたら、外から大きな子猫の鳴き声がして。私たちも、先住猫たちもみんなびっくりして飛び起きました」
外へ出ると、近所の玄関先をフラフラとさまよう爽太くんの姿が。どうやら、そのころ家の庭によく遊びに来ていた野良猫についてきてしまったようでした。
■窓越しに先住猫が「にゃーーお!」、事態が急展開
飼い主さんはすぐに捕獲用のネットを手に取りますが、警戒心が強く、爽太くんはなかなか近寄ってくれません。「どうしよう」と焦る飼い主さん。その時、予想外の“助っ人”が現れます。
それは、窓越しに外の様子を見ていた先住猫の「ぎんた」くんでした。
「窓から私たちの様子を見ていたぎんたが、『にゃーーお!』と大きな声で鳴いたんです。そうしたら、その声を聞いた爽太が、まるで導かれるように窓の下まで飛び出してきて…。おかげで無事に保護することができました」
猫同士にしか分からない「ここは安全だよ」というメッセージだったのでしょうか。ぎんたくんのひと鳴きが、爽太くんの運命を大きく変えた瞬間でした。
■激しく衰弱した体--先住猫がお世話をしてくれた
保護したばかりの爽太くんは、明るい場所で見ると想像以上にボロボロの状態でした。
「お腹を空かせていたようで、成猫用のフードしかなかったものの、試しに与えてみたところ夢中で食べてくれました。でも首元はぐちゅぐちゅに荒れ、猫風邪もひいている。さらに連日の30度超えの暑さのせいか、後ろ足には痛々しいやけどの水ぶくれがありました」
翌日、爽太くんを連れて動物病院へ。重度の皮膚炎を患っていることが分かりました。1週間ほどは体調が優れない日々。懸命な通院とケア、そして何より「食べたい」という本能が爽太くんを支えました。
さらに、爽太くんの生きる力を後押ししたのは、先住猫たちの献身的なお世話だったといいます。
「ぎんたが『良いお兄ちゃん』、ももちゃんが『良きお姉ちゃん』として甲斐甲斐しくお世話をしてくれました。特に爽太は、自分を助けてくれたぎんたのことが大好き。今でもベッタリです」
■長寿猫が虹の橋へ…悲しい別れを越え、たくましく成長
爽太くんは、懸命なケアの甲斐あって少しずつ回復。その一方で、悲しい別れも訪れました。
「我が家の最年長猫、しまちゃんが21歳を前に虹の橋を渡りました」
小さな命を救う一方で、失われた大きな存在。飼い主さん一家にとって、この出来事は命の尊さと厳しさを同時に噛み締めることになりました。
現在、爽太くんは生後10カ月に。あの日、片手に収まるほど小さかった爽太くんは、体重6kg近くまで成長しました。その成長ぶりに、飼い主さんも驚きを隠せないようです。
「もう、ぎんたと大きさが変わりません(笑)。とにかく家の中を走り回っています。近々、去勢手術を受ける予定です。もう少し落ち着いてくれるかなと思いますね」
爽太くんは今日も、優しい家族と先住猫たちに見守られながら、元気いっぱい、はつらつとした日々を送っています。
(まいどなニュース特約・梨木 香奈)























