近畿日本鉄道は5月3日深夜から4日にかけて、大阪難波~近鉄名古屋間にて、夜行列車「ミッドナイトひのとり」を運行しました。この列車はツアー形式の団体臨時列車であり、定期列車ではありません。
「ミッドナイトひのとり」は、名阪間を約7時間かけて走行しますが、気になる点は座席の使い心地・寝心地ではないでしょうか。そのあたりを高速バスと比較しながら、レポートしたいと思います。
■夜行列車における「ひのとり」車両の実力は
「ミッドナイトひのとり」は、名阪間の特急「ひのとり」で用いられる80000系を使用します。80000系「ひのとり」は、プレミアム席とレギュラー席があり、私はレギュラー席を利用しました。
「ひのとり」は日本の鉄道車両では、初めて全座席にバックシェルを設置しました。そのため、後ろの乗客に気兼ねなくリクライニングできます。レギュラー席のリクライニング角度は127度(垂直から37度)、プレミアム席のリクライニング角度は134度(垂直から44度)です。また、リクライニングすると同時に、座面も動きます。
夜行列車として、後列に気兼ねなくリクライニングできる点は高く評価できます。また、座面が動くことにより、7時間にわたる乗車でも、腰に違和感はありませんでした。シートピッチ(座席前後間隔)は116cmもあり、足が伸ばせた点も良かったです。
また、全座席にコンセントがある点も見逃せません。乗車時間7時間を超えることから、コンセントは必須です。
そして、意外に役立ったのが独特の形状をした窓脇のスペース。トイレ時や荷物の整理の際に、小物を置きたいものです。そのような時に、小物が置きやすく、大変助かりました。
一方、リクライニング角度は夜行列車であれば、「もう少しリクライニング角度が大きければ」というのが正直な感想。寝ぼけながら、何回もリクライニングを操作していました。もちろん昼間の運用では、まったく問題ありません。
参考までに、夜行高速バス(WILLER TRAVEL)の座席データを確認します。4列シート「リラックス」のリクライニング角度は約130度、シートピッチは91cm。3列シート「ドーム」のリクライニング角度は約130度、シートピッチは108cm。3列独立シート「コモド」のリクライニング角度は約140度、シートピッチは93cmです。また、西日本JRバスの3列独立シート「グランシート」のリクライニング角度は約135度となっています。
「ひのとり」レギュラー席の座席は、夜行高速バスの3列独立シートのリクライニング角度より、少し小さいですが、シートピッチは上位クラスに匹敵します。一方、プレミアム席のリクライニング角度は、3列独立シートの座席とそれほど変わりません。
■バックシェルを活かした結果の夜行列車
近鉄によると、「ミッドナイトひのとり」は近鉄社内で生まれた、いわば「近鉄発のアイディア列車」です。夜行列車が生まれた要因のひとつが、「ひのとり」のバックシェル付きの座席でした。先述したように、「ひのとり」は全座席にバックシェルが設置されています。そこで、「バックシェルを活かして何ができるのでは」という社内の考えから、「ミッドナイトひのとり」が生まれました。
ダイヤの策定では、名阪間を走る高速バスを考慮しています。大阪難波、近鉄名古屋発ともに発車は23時以降と、夜遅くギリギリまで現地滞在できます。一方、到着時間帯は翌朝は電車や地下鉄が利用しやすい6時~7時台です。
参考までに、西日本JRバスが運行する「大阪ドリーム名古屋2号」のダイヤは、大阪駅JR高速バスターミナル発22時30分、名古屋駅着5時44分です。
近鉄によると、夏も「ミッドナイトひのとり」の運行予定がある、とのこと。利用者の声を反映させながら、同列車を育てる心意気を感じました。
(まいどなニュース特約・新田 浩之)























