日本人は学校で英語を学ぶ機会が多いものの、英語でスラスラと会話ができる人は多くないでしょう。特に発音が似ている言葉を使ってしまうことがあるようです。ケニアに在住している日本人の漫画家でありイラストレーター、さらにオカリナ講師でもあるジャスティンさんの作品『日本人はLとRの区別がつかない』は、そんな日本人の英語に関するあるあるを描いています。同作はX(旧Twitter)に投稿されると、81万回以上閲覧され注目を集めています。
ある日作者は、イギリス人の友達に「ねえなんでLとRがわかんないわけ?」と言われ、ショックを受けるのでした。ただ、これは日本人だけの話ではありません。エジプト人の友達はBとPの区別がつかないらしく、「Parts(パーツ)」と言うつもりが「Barts(バーツ)」と発音してしまいます。同様にフィリピン人の友達はPとFの区別がつかないようで、「For example(フォーエグザンプル)」と言うつもりが「Por example(ポルエグザンポル)」と発音してしまうのでした。
なぜこのような発音の区別ができなくなるのか調べてみると、フィリピンで使われているタガログ語にはFの音を言葉で使うことがないことが分かります。またエジプトで使われているアラビア語にはPの音がないため、友達はPとBを区別できなかったのです。そして日本語にはRの音が使われていないため、作者はLとRを区別できずにいたのです。
このように世界的に見ても音の区別がつかないことは珍しいことではありません。だからこそ、「世界中の国がこうやって頑張って英語に合わせてあげてるんだから自分のアクセントに引け目を感じる必要はない」と作者は考えるのでした。
読者からは「LRが聴き分けられる外国人様には「雨」と「飴」の同音異義語を聴き分けていただきましょう」や「インドネシア語もコーフィーはコピですね」、「イタリア人はhの音がないので発音できないらしい。イタリアでhotelはいっぱいあるのに発音はオテルだった」など、さまざまな国の発音あるあるが集まっています。そんな同作について、作者のジャスティンさんに話を聞きました。
■とにかく文法も発音も全部人に聞きました
ー同作のような指摘は、どの地域の方からされることが多いのでしょうか?指摘された時はどのように対応してきましたか?
人にもよりますが、アメリカ人やイギリス人など英語が母語の人たちのうち「自分たちの英語が正しい」と思っている人たちがよく指摘してきます。指摘された時、初めは嫌な感じがしました。でも世界的に普通に起こっていることだと知ってからは、みんな努力していることを伝えた上で「How about you study Japanese?(あなたの方が日本語勉強してみるっていうのはどう?)」などと冗談を返しています。
ージャスティンさんは、中国・ウイグル自治区・エジプト・ケニアに住んでいたことが書かれていますが、地域ごとに印象的だったことを教えてください。
中国で印象的だったのは「なぜそんなに何度もすみません・ありがとうと言うのか」と言われたことです。日本の感覚で「すみません」と言っていると非常に不自然で、本当に申し訳ないと思った時にのみ使うべきだと学びました。また「ありがとう」と言うと多くの方はうろたえました。日本のように気軽な感謝を表す表現ではなく、その一言で非常に強い感謝が伝わりました。
ウイグル自治区では正しい情報を得ることの大切さを学びました。一般民衆レベルでは、別に中国人とウイグル人は憎しみ合ってもいませんでした。ウイグル人と中国人で結婚している夫婦もいました。でも事情を知らない外野、またウイグル人と関わろうとしない中国人はうわさだけ信じて言い合っていました。この状況を私はとてももったいないと思い、ウイグル自治区では積極的にウイグル人と関わってみました。結果ウイグル人の良い友達がたくさんできました。
エジプトで印象的だったのは「人」です。純粋で良い反面、皆その時の感情で動いているので物事が予定通りに進むということが全くありませんでした。例えばガスの修理業者が家に来るまでに何度も何度も電話をかけて2カ月待ったことがありますが、これもエジプトでは普通です。でもようやく作業者が来ると「工具を持って来なかったからまた明日」と言い、さらに1カ月来ないといった具合です。
ケニアはどうしてもエジプトと比べてしまうのですが、あまりにも良いところです。ケニアの人たちは「俺たちはアフリカタイムですぐ仕事遅らせるから…」と自虐を言いながら、ものすごく勤勉に仕事をします。物事がほとんどすべて予定通りに進みます。エジプトと違ってこちらの言ったことが普通に相手に伝わるので驚きます。
またケニアの人たちの細やかな気遣いは本当に衝撃的です。ケニアに来て最初の日の事ですが、数人での食事中に電話の着信があったケニア人が、電話に出るために「すみません」と言いながら部屋から出ていくのを見て「こんなんもう日本人やん…」と思いました。
ー世界の様々な地域に住んでいたことがあるジャスティンさんは、英語や中国語を学ぶ時に、どのような工夫をしたのか教えてください。
どの言語も基本的には「人に聞く→書いて覚える→使ってみる」の繰り返しで身につけました。机で勉強したことが覚えられない私は、とにかく文法も発音も全部人に聞きました。聞いた新しい単語を週に1個でもいいので使ってみる、そしてそれが人に伝わると忘れなくなります。
新しい言語は赤ちゃんみたいな言葉から話し始めなければならないので、恥ずかしさもあるかと思います。しかし「赤ちゃんでーす」みたいなマインドで恥も外聞も捨てると上手くいきます。
KADOKAWAから出しました「月収5万エジプト在住 まあ死なんやろ日記」という本の第14話「外国語を学ぶのは楽しいんだぜ」にも詳しく描いていますので、ぜひお読みいただければと思います。
(海川 まこと/漫画収集家)























