育児分担はむずかしい! ※画像はイメージです(FineGraphics/photoAC)
育児分担はむずかしい! ※画像はイメージです(FineGraphics/photoAC)

生後6カ月の乳児をもつ会社員のAさんは、フルタイムで働く父でもあります。妻は出産を機に専業主婦になりました。

そして夜泣きが始まってからは、「睡眠不足になると仕事でミスをしてしまうかもしれない。家族を養うためにも、仕事は万全の状態でいたい」というAさんの考えから、子どもの対応はほぼ妻任せになっています。とはいえAさんが家にいるときは、沐浴や寝かしつけ、家事にも積極的に参加しており「できることはやっている」という気持ちがあります。

一方、妻は夜中に2~3回夜泣き対応で起こされてしまう日々が続き、日中も家事と育児でなかなか休めない状態です。妻の悩みにAさんは「昼寝すればいいじゃないか」と言いますが、子どもが寝たタイミングで家事を済ませなければならず、まとまった睡眠をとれる状況ではありません。体力の限界を感じた妻は、Aさんに「せめて週に1~2回だけでも夜泣き対応を手伝ってほしい」と懇願するのでした。

Aさん一家のように、専業主婦がいる家庭の夜泣きの分担はどのように考えるとうまくいくのでしょうか。夫婦カウンセラーの竹下小百合さんに話を聞きました。

■夜泣きは夫婦で乗り越える

ー専業主婦の奥さんが、夜泣き対応を主に担うのは妥当といえるのでしょうか?

"専業主婦だから夜泣き担当が当然"という考え方は、今の時代のパートナーシップや心身のメカニズムから見ても、妥当とは言えません。育児は24時間体制の仕事です。夜泣き対応で細切れ睡眠が続く状態は、脳に大きなストレスがかかり続けます。

産後の体は、交通事故に遭ったのと同じくらいのダメージを受けているとも言われており、回復には時間がかかります。

パパが睡眠を確保したいという気持ちはよく分かりますが、ママも日中ずっと、目が離せない命を守り続けています。お子さんはふたりの子ども。その重さを、できればふたりで分かち合えるといいですね。

ー毎晩続く睡眠不足は、夫婦仲やメンタルにどんな影響を与えることがありますか?

睡眠不足が続くと、相手の感情を読み取る力が低下するため、パパの言葉がママには無神経に聞こえてしまいます。一番の味方のはずなのに、一番話が通じない相手になってしまうのです。

「産後の恨みは一生」という言葉もあるように、この時期の負担感は長期的に尾を引きやすいもの。だからこそ、小さな気遣いや分担が、後々の夫婦関係を大きく左右します。

また、赤ちゃんが泣くのは唯一の意思表示の手段です。夜泣きは大変ではありますが、親子がお互いを理解していく大切な過程でもあります。

近年は赤ちゃんの泣き声をAIが分析し、「眠い」「空腹」「甘え」などの理由を判定するアプリも登場しています。ヒントとして活用するのはよいことですが、頼りすぎるより、抱っこや授乳を重ねながら「この泣き方はこういうサインかな」と感じ取っていく時間を、大切にしてほしいと思います。

ー夫婦で無理なく取り入れられる夜泣きの分担方法はありますか?

時間帯で担当を決めておくのがおすすめです。「22時~2時は自分が担当」と決めれば、お互いにまとまった睡眠が確保できます。休日はパパが主な担当、平日は早番・遅番で交代するなど、それぞれの家庭の事情に合わせて柔軟に考えてみてください。

また、授乳が終わってもまだ泣いている、というときもありますよね。そんなときの「安心させるための抱っこ」もパパの出番。ママが昼寝・休息を取ることへの罪悪感を、パパが言葉と行動で取り除くことも立派な役割です。

育児は「手伝い」ではなく、ふたりで担う共同作業です。特別なことをしているのではなく、当たり前のこととして自然に関われる関係が、家族みんなにとっていちばん心地よいと思います。

◆竹下小百合(たけした・さゆり) 夫婦・パートナーカウンセラー
宮城県仙台市出身。大学研究室秘書、結婚相談所カウンセラーなどの経験と資格を活かし、2013年ママ起業家のイベント参加をきかっけに夫婦・パートナーカウンセラーとして起業。現在は自らの起業、離婚、シングルマザー、子連れ再婚、アラフォー出産などの経験を講座・講演等でお伝えしている。すべての女性がライフイベントによる暮らしの変化で活躍を妨げられず、心身共により良い生活を送れることが願い。父親支援の団体:NPO法人ファザーリング・ジャパン東北で8年間代表理事を務めた(現在は監事)プライベートでは男児(2010年、2019年生まれ)の母、ステップファミリー。