会社員のAさんは、勤務中にたびたび席を外す同僚Bさんに不満を感じていました。Bさんは喫煙者で、1時間ごとに10分ほどタバコ休憩を取ります。さらに昼休憩も1時間きっちり取るので、Bさんの休憩時間は明らかに他の社員よりも多くなっているのです。
タバコを吸わないAさんは、昼休憩とトイレ休憩以外はほとんど席を立たず黙々と仕事をしています。それだけに、同僚のタバコ休憩が容認されている状況に納得がいきません。
そんなある日、Aさんは給湯室でたまたま別の同僚と居合わせ、5分ほど雑談をして席に戻りました。すると上司から「勤務中の私語は慎むように」と注意を受けてしまいます。これに対して「タバコ休憩には何も言わないのに、なぜたった5分雑談しただけで注意されるの?」と、Aさんは上司の対応に納得がいかず、不公平さに怒りがこみ上げてきました。
タバコを吸わないAさんは、このまま同僚のタバコ休憩を容認し続けるしかないのでしょうか。社労士の小島朋子さんに話を聞きました。
■タバコ休憩は法律上「労働時間」とみなされる
-勤務中のタバコ休憩は、労働法上どのような扱いになりますか?
タバコ休憩中であっても、上司から呼び出された場合や緊急時にすぐ業務へ戻れる状況である場合には、労働時間とみなされる可能性が高いと考えられます。つまり、単に「離席してタバコを吸っている」という事実だけで、休憩時間として扱ってよいとは限らないのです。
-頻繁なタバコ休憩を会社に訴え、タバコ休憩中の賃金をカットしてもらうことはできますか?
結論からいうと、喫煙場所が職場から離れており、職場で何かあった場合に対応しなくてよいなど労働から解放されているとき以外は、賃金カットは難しいでしょう。先述の通り、タバコ休憩は法的には労働時間とみなされる可能性が高いです。その時間分の賃金を一方的にカットすれば違法となるおそれがあります。
Aさんが感じている不公平感を解消するには、賃金面ではなく、休憩の取り方や社内制度そのものを見直すアプローチのほうが妥当といえます。
-社内での喫煙者と非喫煙者の不公平感を解消するために、会社がとれる対策にはどのようなものがありますか?
喫煙者と非喫煙者の不公平感の解消には、タバコ休憩の取り扱いを就業規則に明記することが有効です。
就業規則に記載する場合、まずタバコ休憩を労働時間と休憩時間、どちらとして扱うのかを明確にします。そのうえで運用上の不公平が生じないよう、職場の実態に即した具体的なルールを定めることが必要です。特に、1回あたりの利用可能時間、1日の取得回数の上限、取得可能な時間帯を明確にすることが求められます。
また、昼休憩以外に独立した休憩時間としてタバコ休憩を認める場合、休憩に関するすべての規則を見直し、他の規則との矛盾が生じないようにすることが重要です。
◆小島朋子(こじま・ともこ) 社会保険労務士/社会保険労務士事務所ホライズン代表
千葉県を拠点に活動する社会保険労務士です。障害年金の代理請求を中心に、法人向けには労務に関する各種ご相談、給与計算業務や給与ソフトの導入・設定確認を承っております。会社と人との良好な関係を築くためのサポートをいたします。
(まいどなニュース特約・長澤 芳子)
























