送迎車に乗り込む高齢者※画像はイメージです(ponta1414/stock.adobe.com)
送迎車に乗り込む高齢者※画像はイメージです(ponta1414/stock.adobe.com)

52歳の会社員・高瀬かなさん(仮名)は、夫と高校生の娘、79歳の母と暮らしています。母は2年前に脳梗塞を発症し、右半身にまひが残りました。現在は要介護2の認定を受け、週3回デイサービスを利用しています。デイサービスの日は、朝8時ごろに迎えの車が来るものの、通勤に1時間程度かかるため、母を見送ってから出社すると始業時間ぎりぎりです。

帰りの送迎は夕方5時ごろで、仕事が遅くなると、高瀬さんが帰宅するまで母が1人で過ごす日も少なくありません。「デイサービスを利用していても、仕事を続けるのが難しい」と高瀬さんは不安を感じています。

デイサービスの送迎時間と勤務時間が合わない場合、どうすれば仕事と介護を両立できるのでしょうか。今の生活に合わせて、介護サービスの利用方法を見直すポイントを考えます。

■まずは送迎時間と勤務時間のズレを確認

デイサービスの送迎時間と勤務時間が合わず悩んでいるなら、まず何が負担になっているのかを整理しましょう。

出勤・退勤時間や勤務先までの所要時間、送迎時間、残業の頻度を確認します。家族が対応できる時間帯や、送迎に合わせるために遅刻・早退をしているか、親が帰宅後に一人になる時間があるかなど、仕事や生活への影響も確認します。

こうした状況を整理しておくと、ケアマネジャーに具体的に伝えやすくなります。

■「仕事を続けたい」とケアマネジャーに伝える

介護保険サービスは、本人の状態や生活状況などを踏まえて作成されたケアプランに基づいて利用します。そのため、勤務時間とのずれなど生活上の困り事が生じた場合は、ケアマネジャーに状況を伝え、現在のサービス内容が生活に合っているか相談することが大切です。

ケアマネジャーに相談する際は、まず「できるだけ今の仕事を続けたい」という希望を伝えましょう。漠然と「困っている」と伝えるだけでなく、介護の負担や家族の生活状況などを具体的に説明することが大切です。

出勤・退勤時間、デイサービスの送迎時間、家族が対応できる時間帯、残業時の状況など、一日の流れを説明します。たとえば、「午前8時の迎えに対応すると始業時間ぎりぎりになる」「午後5時の送りに間に合わず、残業の日は母が一人になる」といった伝え方です。

◆まずは現在の事業所で調整できるか確認する

こうした状況を踏まえ、現在の事業所で送迎時間の調整や、時間延長サービスが利用可能か、ケアマネジャーに相談してみましょう。必要に応じて現在の事業所で対応可能な送迎時間や利用時間について確認してもらいます。

ただし、送迎時間の変更や個別の時間延長サービスが必ず利用できるとは限りません。事業所の体制やほかの利用者の送迎状況などによって、対応できる範囲は異なります。

◆別のデイサービスや介護サービスとの組み合わせも検討する

現在の事業所で希望する調整が難しい場合は、別の選択肢も検討します。勤務時間に合う別のデイサービスがないかケアマネジャーと検討する方法があります。

また、家族が不在となる時間帯に訪問介護(ヘルパー)を利用して、デイサービスへの送り出しや帰宅後の受け入れ(鍵の開閉など)をサポートしてもらう方法もあります。本人の状態や生活状況によっては、通い・訪問・宿泊を柔軟に組み合わせられる小規模多機能型居宅介護へ切り替えるなど、ほかの介護サービスとの組み合わせを検討しましょう。

◇  ◇

高瀬さんは、出勤・退勤時間やデイサービスの送迎時間、残業時に母が一人になる状況を整理し、ケアマネジャーに相談しました。

「できるだけ仕事を続けたい」と希望を伝えたところ、現在の事業所では送迎時間の調整が難しいことが分かりました。そこで、ケアマネジャーと一緒に、勤務時間に合う別のデイサービスへの変更や、ほかの介護サービスとの組み合わせを検討することになりました。

「仕事を辞める前に、ケアプランを見直すきっかけになった」と高瀬さんは話します。デイサービスの送迎時間と勤務時間が合わず負担を感じている場合は、まず現在の生活状況を整理し、ケアマネジャーに相談してみましょう。

【監修】勝水健吾(かつみず・けんご)社会福祉士、産業カウンセラー、理学療法士 身体障がい者(HIV感染症)、精神障がい者(双極症2型)、セクシャルマイノリティ(ゲイ)の当事者。現在はオンラインカウンセリングサービスを提供する「勇者の部屋」代表。

(まいどなニュース/もくもくライターズ)