左から、通年販売している「チョコのまっぷたつ?パフェ(税込748円)」、右は「シャインマスカットのまっぷたつ?パフェ(税込1,078円)」。
左から、通年販売している「チョコのまっぷたつ?パフェ(税込748円)」、右は「シャインマスカットのまっぷたつ?パフェ(税込1,078円)」。

デニーズから登場した、一見すると普通のパフェ。しかし横から見ると、なんとグラスも中身も“まっぷたつ”。ユニークな見た目がSNSでも話題になった「まっぷたつ?パフェ」ですが、実は単なる「おもしろ企画」から生まれた商品ではありません。

背景にあったのは、SNS映えを楽しみながらも食べ切れずに残してしまうという「食品ロス(フードロス)」の問題でした。なぜパフェを“まっぷたつ”にする必要があったのか。専用グラスの開発秘話から、完食率96.3%につながった仕掛けまで、株式会社デニーズジャパンの広報担当者に話を聞きました。

--「まっぷたつ?パフェ」は、どのような経緯で企画が始まったのでしょうか。

デニーズの人気商品である「いちごデザート」を通して、単に商品を紹介するだけでなく、社会課題の解決につながる企画ができないかと考えたのがスタートです。

調査を進める中で、SNS投稿を目的に料理やデザートを注文する人が54%にのぼる一方、約3人に1人が「デザートを食べ残した経験がある」と回答したことが分かりました。SNSでおいしさや“映え”をシェアしたい思いが、食品ロスを生み出す一端になっているのではないかと考えたのです。

(※調査は2025年11月実施。18~69歳の男女計300人を対象にしたインターネット調査)

--食べ残し以外に、お客様から寄せられていた声はありましたか?

サンデーを楽しみたい気持ちはあるものの、「量が多くて食べ切れないから注文していなかった」というお声がありました。そこで、単純にサイズを小さくするのではなく、見た目の華やかさは残したまま、食べ切れる量にできないかと考えました。

SNSに投稿されるパフェの写真の多くが「正面から撮影されている」点に着目しました。正面から見ると普通のパフェに見え、横から見ると実は“半分”。この驚きを楽しんでもらう構造にすれば、写真映えと食べ残し削減を両立できると考えたのです。

--単に「量を減らしただけ」にならない工夫とは?

デニーズにはもともと「ミニパルフェ」などの小サイズがありますが、「ザ・サンデーの見た目を楽しみたい」という方にとっては、見た目のワクワク感が欠かせません。

そこで専用グラスの強度を高めるため、ガラスの厚みや脚を太く設計しました。またグラスの断面は模様のないつるつるとした仕様にし、パフェならではの層がきれいに見えるよう工夫しました。

■難易度が高かったのがまっぷたつ用グラスの製造

--商品開発にはどれくらいの期間がかかりましたか?

約1年です。特に苦労したのが「専用グラス」の開発でした。前例のない形状だったため既存のグラスが使えず、一から開発する必要がありました。

20件以上のガラス工房に連絡しましたが、技術的な難易度の高さから断られ続けました。その中で唯一「実現できます」と手を挙げてくださったのが「なかむら硝子工房」(中村昌央氏)でした。職人の技術があったからこそ実現できた商品です。

試作品は5~6回ほど制作と検証を繰り返しました。通常より細く、グラスの中も狭い構造になっているため、パフェを美しく見せながら、安定感や安全性も確保しなければなりません。途中でグラスの内部や縁の部分の広さを何度も調整しました。

現在は限定店舗(90店舗)で販売しているため、金型を作って工場で製造しています。ただ、均等ではない特殊な形状のため国内で受託先が見つからず、現在は中国の工場で製造しています。一度に大量生産することが難しいため段階的に店舗へ納入しており、今後は全店での展開を目指して製造を続けています。

--パフェの盛り付けや食材にも、通常の商品とは違いがありますか?

はい。例えば桃は、普通のパフェではくし形にカットしますが、まっぷたつ用はグラスからずり落ちないよう「大きめのダイスカット」にしています。

また、最後まで食べたときの味のバランスや満足度を考え、通常のサンデーとは使用するクリームやアイスの種類を変え、「まっぷたつ?」に合わせた独自の仕立てにしています。

--実際に「まっぷたつ?パフェ」の食べ残しには変化がありましたか?

完食率96.3%を達成しています。SNSの「映える写真を撮る」という文化自体を否定するのではなく、その楽しみを尊重しながら食品ロスを減らすアプローチが大切だと感じています。現在は10~20代が利用者の約3分の1を占めますが、30~70代以上の方にも幅広く召し上がっていただいています。

■パティシエの技術を高める「パティシエコンテスト」も開催

--デニーズでは「どの店舗でも写真通りのパフェが出てくる」という話を聞きますが。

デニーズでは、作成手順の動画教材に加え、パティシエの技術を高める「パティシエコンテスト」を毎年開催しています。全店舗から自薦・他薦でストアスタッフ(アルバイト)もエントリーでき、地区選考、ゾーン選考を経てNo.1を決定します。

コンテストでは、複数のデザートを素早く手際よく、メニュー見本通りに仕上げる技術を評価します。優秀なスタッフの取り組みを全店に横展開することで、店舗全体の品質向上につなげています。

--「まっぷたつ?パフェ」は、今後も展開していくのでしょうか?

今後は季節のデザートでも、こうした取り組みを実施していく予定です。次はデニーズ全店で展開するのが目標です。

なお、「まっぷたつ?パフェ」シリーズはキャンペーンの開始時期は公表していますが、終了時期はあえて公表していません。これは季節の生のフルーツを使用しているため、天候や仕入れ状況によって入荷数が変動し、確実な供給期間をお約束できないからです。

--最後に、「まっぷたつ?パフェ」の一番の魅力を教えてください。

デニーズのデザートのおいしさを一人でも多くのお客様に知っていただきたい、そして食品ロスを削減できる取り組みとして生まれたのがこの商品です。見た目もおいしさも楽しんでいただきながら、食品ロスについて考えるきっかけになれば幸いです。

▽デニーズ

https://www.dennys.jp/menu/half-parfait/grapes/

(まいどなニュース特約・鈴木 博之)