高熱のはずの息子が突然ベランダに! ※この画像はAdobe Fireflyで作成したイメージです
高熱のはずの息子が突然ベランダに! ※この画像はAdobe Fireflyで作成したイメージです

Aさん(30代・専業主婦)は、インフルエンザで39度の熱を出した6歳の息子を自宅で看病しています。

夕方、Aさんが夕食の準備をしていると、ベランダから「ガタッ」と音がしました。心配になったAさんがベランダに駆けつけると、なんと息子が手すりによじ登ろうとしていたのです。

驚いたAさんは息子を慌てて抱きかかえると、息子はうわ言のように何かをつぶやき、呼びかけても反応が鈍くなっていました。

Aさんの息子のように、子どもが高熱を出した際、普段とは異なる行動や言動がみられるのはなぜでしょうか。小児科医の竹内雄毅さんに聞きました。

■Aさんの息子は熱せん妄の可能性がある

ーAさんの息子の異常行動は何なのでしょうか?

Aさんの息子のように発熱しているときに一時的に意識が混乱し、普段とは異なる言動がみられる状態は「熱せん妄」の可能性があります。

熱せん妄では、意味の分からないことを話す、存在しないものが見えているような反応をする、突然起き上がって歩き回るなどの行動がみられることがあります。

Aさんが「うわ言をつぶやいていた」「呼びかけても反応が鈍かった」と話している点も、普段とは異なる意識状態だった可能性を考えるポイントです。

ただし、熱せん妄の可能性はあるが、インフルエンザ脳症の初期症状との区別が難しい場合もあります。

呼びかけへの反応が明らかに悪い状態が続く、異常な言動や行動が長く続く、けいれんを伴う、意識状態が悪化するなどの場合には、「熱せん妄だろう」と自己判断せず、速やかに医療機関へ相談・受診しましょう。

ー異常行動を起こしやすい年齢や、起こりやすい時期・前兆はありますか。また実際どのようなトラブルが報告されているのでしょうか?

厚生労働省によると、転落などにつながるおそれのある重度の異常行動は、就学以降の小児・未成年者の男性からの報告が多く、発熱から2日間以内に起こることが多いとされています。

重度の異常行動は就学以降の小児・未成年者、特に男性で多く報告されていますが、就学前の子どもや女児でも起こる可能性があります。

また、具体的な異常行動として、突然立ち上がって部屋から出ようとする、窓を開けてベランダに出て飛び降りようとする、自宅から外へ出て歩き回り、話しかけても反応しないといった例が挙げられています。

なお、こうしたインフルエンザに伴う異常行動は、抗インフルエンザ薬を服用していない場合でも発生することが報告されています。「特定の薬を飲んだから起きる」というわけではなく、薬を飲んでいるかどうかにかかわらず注意しましょう。

ーAさんのように1人で看病しなければいけない場合、どのような対策をすればいいでしょうか。

現実的には、Aさんのように常時見守りが難しい場面もあるでしょう。そのため、玄関や窓の施錠、補助錠、寝かせる部屋の工夫など、目を離しても重大な事故につながりにくい環境をあらかじめ整えておくことが重要です。

厚生労働省でも、インフルエンザで自宅療養する場合、少なくとも発熱から2日間は、玄関や窓を確実に施錠する、必要に応じて補助錠を使う、ベランダに面していない部屋で寝かせる、一戸建ての場合はできる限り1階で寝かせるなどの対策を呼びかけています。

◆竹内雄毅(たけうち・ゆうき) たけうちファミリークリニック院長
医学博士・小児外科専門医。京都府立医科大学小児外科客員講師。小児科・小児外科診療に従事する傍ら、病児保育や発達支援、地域イベントの企画・運営など、子どもと家族を支える地域づくりに取り組んでいる。一般社団法人tPot代表理事として、医療・子育て・学び・仕事・文化がゆるやかにつながるコミュニティづくりを推進。地域の多職種や住民と連携しながら、子どもたちが健やかに育つ環境づくりに力を注いでいる。

(まいどなニュース特約・長澤 芳子)