庭先で、ひとり鳴いていた小さな子猫。母猫の姿はなく、見つけた人の家では飼うこともできませんでした。地元の保護団体も、預かる場所はいっぱい。それでも、相談を重ねた人たちの協力で、子猫は無事に保護されました。
「コンちゃん」と名付けられた男の子は、保護直後こそ威嚇していたものの、その日の夜にはのどをゴロゴロ。迎え入れを検討する人も現れましたが、その後、体調を崩し、今は回復を優先して見守られています。
保護の経緯と現在の様子を、三重県伊賀市で保護猫活動を行う「伊賀ねこの隠れ家sai」さん(@sai_story07)に聞きました。
■助けたい。でも、連れ帰る場所がない
コンちゃんが見つかったのは、あるお宅の庭先でした。発見した人は、母猫が近くにいるのではないかと、しばらく様子を見ていたそうです。
しかし、母猫は現れません。まだ幼い子猫を保護したいと思う一方、自宅には猫を飼える環境がなく、連れ帰っても置いておける場所がありませんでした。
「保護することが本当にいいことなのか、かなり悩まれたそうです」
悩んだ末に見つけたのが、saiさんのアカウント。思い切って相談の連絡をしました。
ただ、発見場所からsaiさんまでは距離があり、まずは地元の保護団体に相談することに。ところが、そちらも受け入れに余裕がなく、捕獲などの手伝いはできても、継続して預かることは難しい状況でした。
そこで相談を重ね、地元の団体が捕獲器を貸すなどして保護に協力し、その後はsaiさんが預かることになりました。
「もちろん、saiにも余裕があるわけではありません。それでも、今にも危険が迫っている小さな命を見過ごすことはできませんでした」
当時、コンちゃんは推定生後1カ月半ほど。寒さや交通事故、ほかの動物に襲われる危険を考え、一刻も早い保護が必要だと判断したといいます。相談者と一緒に里親を探していくことを約束し、受け入れを決めました。
■「シャーシャー」だった子が、その夜には
保護された直後のコンちゃんは、「シャーシャー」と威嚇していました。ところが、その日の夜には、もうのどをゴロゴロと鳴らしていたそうです。
ご飯をたくさん食べ、抱っこもさせてくれました。
「きっと、お腹も空いていたでしょうし、外でひとりぼっちで過ごすことが、本当に怖かったのだと思います。まだまだ赤ちゃんですからね」
安心したように甘える姿に、迎えた側もほっとしたといいます。
「とにかくかわいかったです。そして、私たちも本当に安心しました。無事に保護していただけたこと、そしてsaiに来てもらえたこと。本当によかったと思いました」
取材時点で、推定生後1カ月半から2カ月ほどのコンちゃん。黒猫のお姉ちゃんに甘えたり、後をついていったりすることもありますが、基本的にはひとりで過ごす時間が多いそうです。
同じころにやってきた猫の「カシヤ」との関係にも、変化がありました。当初は押され気味だったものの、今では自分から向かっていくほどに。
「すごく甘えん坊というわけではありませんが、気づけばそばにいてくれる子です。抱っこも嫌がらずにさせてくれますし、とにかくよく食べます」
■家族探しの前に、今は体調を第一に
そんなコンちゃんが急に体調を崩したのは、10月21日の夜でした。翌22日に動物病院を受診したところ、FIP(猫伝染性腹膜炎)の疑いを指摘されたといいます。現時点で確定診断がついたわけではありません。
10月26日現在、状態は安定し、食欲も戻っています。ただ、血液検査の結果はまだ正常値とはいえず、引き続き経過を観察しています。
保護主の協力もあり、コンちゃんを迎えることを検討している人はいるそうです。しかし、譲渡は体調が落ち着いてから。今は必要な検査や経過観察を続け、回復を優先しています。
「まだ小さなコンちゃんには、これから先、たくさんの幸せな時間を過ごしてほしいと願っています」
今回の取材で、saiさんは保護後に続く負担についても話してくれました。
けがや病気、人に慣れていないことなどから、保護した猫がすぐに譲渡会へ参加できるとはかぎりません。その間も治療や世話は続き、医療費は団体の持ち出しになるといいます。費用の制約から、すべての猫に十分な医療を受けさせることが難しい場合もあるそうです。
コンちゃんについても、早い段階で家族が決まりそうだった一方、今は体調を見守る必要があります。
庭先で鳴いていたコンちゃんを気にかけ、相談した人。捕獲に協力した地元の団体。そして、預かりを引き受けたsaiさん。保護後も、それぞれの関わりは続いています。
(まいどなニュース特約・渡辺 晴子)























