六甲山系豪雨災害
兵庫県内で死者・行方不明者98人を数えた「昭和42(1967)年7月豪雨」の発生日から50年となった9日、神戸市中央区の神戸ポートオアシスで、災害の記憶を伝承し、被害軽減に向けた取り組みを発信する学術シンポジウムが開かれた。九州豪雨をもたらした「線状降水帯」が50年前、神戸上空にもかかっていたことなどが報告された。
神戸大学と神戸市がつくる実行委員会が主催。大石哲・同大学都市安全研究センター長は、当時の天気図や降水分布図を分析し、50年前の神戸では線状降水帯が南西から北東に伸び、夕方から深夜にかけて何度も強い雨を降らせたことを報告した。線状降水帯は、2年前の関東・東北豪雨や3年前の広島市の土砂災害ももたらし、大石教授は最新の観測技術による予測の活用を訴えた。
実行委員長の沖村孝・神戸大名誉教授は、1938(昭和13)年の阪神大水害から阪神・淡路大震災まで、治山や砂防対策の契機となった災害を紹介。67年の豪雨では、阪神大水害に比べ土砂流出量が1割程度だったことや、小河川で被害が大きかったことなどを解説した。
今後50年を見据えた防災・減災まちづくりをテーマにパネル討論も実施。50年前、神戸と同様に大規模な土砂災害に見舞われた広島県の高垣広徳副知事らも登壇し、土砂災害を繰り返さないための「啓発・伝承プロジェクト」の取り組みなどを説明した。(高田康夫)
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