甲子園決勝が始まった後の国道58号。普段より交通量が少なく見える=8月23日午前10時44分ごろ、那覇市の泊交差点
甲子園決勝が始まった後の国道58号。普段より交通量が少なく見える=8月23日午前10時44分ごろ、那覇市の泊交差点

 沖縄尚学の初優勝で幕を閉じた夏の甲子園。地元の沖縄県では、東洋大姫路(兵庫)に競り勝ちベスト8を突破したあたりから、あれよ、あれよという間に「沖尚」ブームが盛り上がったという。ニュースでは、決勝戦のさなかの交通量が少ない幹線道路の光景が映し出され、県民の熱狂ぶりを伝えた。ただ、「車の混み具合はいつもと変わらなかった」との声も琉球新報社の「りゅうちゃんねる取材班」に寄せられた。沖縄では、甲子園の季節になると「街から車が消える」とまことしやかに語られてきたが、実態はどうだったのか。決勝が行われた8月23日の主要幹線道路3地点付近の交通量を基に検証した。(琉球新報社)

 3地点は国道58号の天久交差点(那覇市)と美浜交差点(北谷町)、国道330号のおもろまち駅(那覇市)。県警が主要幹線道路などに設置している「車両感知器」の通過車両台数データを使用した。23日の午前9時半から午後1時半までを1時間ごとに集計したデータを、直近の土曜の8月9日、同16日と比較した。

甲子園決勝が始まった後の国道58号。普段より交通量が少なく見える=8月23日午前10時44分ごろ、那覇市の泊交差点

交通量は最大2割減、都市伝説も「うそとは言えない…」

 全国高校野球選手権大会で初優勝を果たした沖縄尚学。県民は試合のテレビ中継にくぎ付けになり、「車が街から消える」とも言われるが、実際はどうだったのか。沖尚が日大三(西東京)と熱戦を繰り広げた決勝の23日、国道58号の天久交差点(那覇市)と美浜交差点(北谷町)、国道330号のおもろまち駅(那覇市)の3地点の交通量を県警のデータを基に、直近の土曜の8月9日、同16日と比較してみた。

天久交差点付近の交通量

美浜交差点付近の交通量

おもろまち駅付近の交通量

 3地点の通過台数を合計した午前9時半~午後1時半の通過台数は9、16日ともに約4万3千台。だが23日は3万8834台で、前週、前々週と比較して1割程度減少した。

 9、16日の2日間の平均通過台数からの減少数で算出した3地点別の減少率は、天久交差点で12・9%、おもろまち駅で11・7%、美浜で6・9%だった。

 時間帯別では、いずれの時間帯でも減少はしている一方で、試合の盛り上がり、そして優勝の足音の接近と減少率が強く連動していることが分かる。

 試合開始は午前10時。同時刻を挟む9時半~10時半の3地点合計での減少率は3・7%と大きな変化はなく、美浜交差点とおもろまち駅では、23日の通過台数の方が多かった。

3地点の合計交通量と23日の減少率

 だが、沖尚が六回に勝ち越しとなる2点目のホームを踏んだ時点(午前11時14分)を含む10時半~11時半には14・0%と大幅に上昇。優勝を決めた正午ごろを挟み、盛り上がりがピークを迎えた午前11時半~午後0時半には減少率が20・1%にまで伸びた。

 午後0時半~同1時半は3・0%にとどまり、徐々に日常に戻っている様子がうかがえる。

 県警交通規制課の東浜貴大課長は「『車が街からなくなる』ほどではないが、主要交差点を通過する車が減少したのは事実だ。『都市伝説』もあながちうそとは言えないのかもしれない」と話した。

甲子園の決勝開始直後、おもろまち方面からの車が混み合う安里駅周辺の国道330号=8月23日午前10時3分、那覇市内

甲子園の決勝で沖縄尚学が勝ち越しの2点目を上げた頃のおもろまち駅周辺の国道330号=8月23日午前11時17分、那覇市内