連載・特集 連載・特集 プレミアムボックス

  • 印刷
地震から5日たっても地中ではまだ火が燃えていた=1995年1月22日、西宮市仁川百合野町 地滑り現場で収容される遺体=西宮市仁川百合野町 土砂につぶされた車が放置されていた=西宮市仁川百合野町 地滑りを起こした斜面上の甲山浄水場から見た現場=西宮市仁川百合野町 阪神総局に向かう途中、随所で落石や倒壊した石垣を目にした=17日、西宮市 電柱が倒れ、倒壊した家屋が道をふさいだ=17日、西宮市
拡大

地震から5日たっても地中ではまだ火が燃えていた=1995年1月22日、西宮市仁川百合野町

地滑り現場で収容される遺体=西宮市仁川百合野町

土砂につぶされた車が放置されていた=西宮市仁川百合野町

地滑りを起こした斜面上の甲山浄水場から見た現場=西宮市仁川百合野町

阪神総局に向かう途中、随所で落石や倒壊した石垣を目にした=17日、西宮市

電柱が倒れ、倒壊した家屋が道をふさいだ=17日、西宮市

  • 地震から5日たっても地中ではまだ火が燃えていた=1995年1月22日、西宮市仁川百合野町
  • 地滑り現場で収容される遺体=西宮市仁川百合野町
  • 土砂につぶされた車が放置されていた=西宮市仁川百合野町
  • 地滑りを起こした斜面上の甲山浄水場から見た現場=西宮市仁川百合野町
  • 阪神総局に向かう途中、随所で落石や倒壊した石垣を目にした=17日、西宮市
  • 電柱が倒れ、倒壊した家屋が道をふさいだ=17日、西宮市

地震から5日たっても地中ではまだ火が燃えていた=1995年1月22日、西宮市仁川百合野町 地滑り現場で収容される遺体=西宮市仁川百合野町 土砂につぶされた車が放置されていた=西宮市仁川百合野町 地滑りを起こした斜面上の甲山浄水場から見た現場=西宮市仁川百合野町 阪神総局に向かう途中、随所で落石や倒壊した石垣を目にした=17日、西宮市 電柱が倒れ、倒壊した家屋が道をふさいだ=17日、西宮市

地震から5日たっても地中ではまだ火が燃えていた=1995年1月22日、西宮市仁川百合野町

地滑り現場で収容される遺体=西宮市仁川百合野町

土砂につぶされた車が放置されていた=西宮市仁川百合野町

地滑りを起こした斜面上の甲山浄水場から見た現場=西宮市仁川百合野町

阪神総局に向かう途中、随所で落石や倒壊した石垣を目にした=17日、西宮市

電柱が倒れ、倒壊した家屋が道をふさいだ=17日、西宮市

  • 地震から5日たっても地中ではまだ火が燃えていた=1995年1月22日、西宮市仁川百合野町
  • 地滑り現場で収容される遺体=西宮市仁川百合野町
  • 土砂につぶされた車が放置されていた=西宮市仁川百合野町
  • 地滑りを起こした斜面上の甲山浄水場から見た現場=西宮市仁川百合野町
  • 阪神総局に向かう途中、随所で落石や倒壊した石垣を目にした=17日、西宮市
  • 電柱が倒れ、倒壊した家屋が道をふさいだ=17日、西宮市

 ガスのにおいがした。

 兵庫県西宮市・仁川の地滑り現場は、地震から丸1日が過ぎても、地中で起きた火災の煙が噴き出していた。

 「シュー、シュー」

 どこから聞こえてくるのか。不気味な音に足がすくんだ。

 「まだ中に人がいるから」

 臭気が漂う中、近所の男性がパワーショベルを持ち込み、土砂を掘り起こしていた。近くの階段で若い女性が作業を見守っていた。着の身着のまま、身じろぎひとつしない。何度もためらった末、声を掛けた。

 女性は放心したように、前を見つめたままだった。

 大量の土砂が捜索を阻んでいた。女性の家族3人が遺体で見つかったのは、数日たってからだった。

     ◆

 25年前の1月17日。駆け出しの記者だった私は、勤務先の姫路から西宮へ車で向かった。

 道路をふさぐ落石。ぼうぜんと歩く人の列。消防車が来ず、家が燃え尽きるのも初めて見た。車を止めて写真を撮り、また車を走らせる。持参したフィルムは瞬く間になくなった。

 翌日から通ったのが、仁川の地滑り現場だった。

 泥だらけの坂道を、姫路から着てきたスーツと革靴で上った。現場に着くたび、声を掛けられた。

 「遺族の方ですか?」。場違いな服装に、勘違いした記者が先を争うように群がってきた。

 「自分もあんなふうに、さもしい感じなのかな」。そう思うと、人に声を掛けるのが怖くなった。

     ◆

 夜になると、救助活動の様子を会社に伝えるため、公衆電話へ向かった。既に30人ほどが並んでいた。

 「家族は無事やから」。安否を伝えると皆、後ろの人に気を使ってすぐに受話器を置いた。「前に入れてほしい」とは言い出せなかった。

 1時間半ほど待って、ようやく原稿を伝えた。ほっとして列を離れると、声を掛けられた。「律義に並んで。あんた取材の人やろ」。住民の輪に招き入れられ、「あんたも大変やなあ」と励まされた。

 いろいろなものを一度に失ったあの日。深い悲しみと怒りの淵で、その傷を癒やそうとする思いやりと優しさが、被災地にはあった。

2020/2/12
 

天気(9月8日)

  • 33℃
  • ---℃
  • 40%

  • 33℃
  • ---℃
  • 50%

  • 34℃
  • ---℃
  • 20%

  • 34℃
  • ---℃
  • 40%

お知らせ