須磨マンスリー
水族館の役割って一体何だろう? ふだんの暮らしでは決して見ることができない生命の神秘と出会うこと? いや、生物は自然のままの姿で観賞するのが本当ではないだろうか。神戸市の須磨海浜水族園(スマスイ)の魚たちを見ながら自問することがある。600種が展示され、年間120万人もの来園者が訪れるスマスイ。須磨マンスリーでは、「まじめにスマスイ」(全3回)と題し、展示の舞台裏で、生態のナゾに挑む最先端の研究や環境保護に取り組む飼育員らの姿を追う。(津田和納)
甲羅から出た頭の両側にある赤色のラインが、生命力の強さを放っている。スマスイの一角にある淡水ガメ保護研究施設「亀楽園」。飼育中の多くが市内外の川や池で捕獲された外来種「ミシシッピアカミミガメ」だ。その数200匹。「ウミガメ博士」こと前園長の亀崎直樹(63)の主導で、2010年に開設された。
□
「アカミミガメが増えて困っている」
10年に亀崎のもとに寄せられた相談をきっかけに兵庫県内外21地域の捕獲調査を実施。18地域でアカミミガメが見つかり、捕獲した全個体の52%が同種と判明した。一方で、日本固有種のニホンイシガメは16%にとどまった。
「清流とされる川でも外来種が見つかる始末。このままでは日本の生態系がダメになる」
亀楽園設置の目的は、外来種の収容と研究にあったが、亀崎は同時に「問題提起をしたかった」と振り返る。「身近な川や池で、固有種がいかに生息域を脅かされているか。多くの人に知ってもらえれば、社会全体の議論として広がるはず」
捕獲したアカミミガメを持ち寄った来園者は、入場無料(期間限定)になる催し「アカミミガメ・パスポート」を毎年実施し、イベントを通じた情報発信に力を入れた。解剖の実習用に大学に提供するルートもできたほか、5~7月が産卵のピークであることや原産国の北アメリカと異なり、国内では雌の数が雄を上回ることなどが分かった。
実態調査を基に駆除の方法も提言した。
須磨区内の池で、網を使った駆除を行うと、当初は1回の捕獲数が最大4匹にも上った。しかし、月2回の駆除を3年間続けた結果、平均0・5匹に減少。継続的な駆除に効果があることを立証した。17年からは、神戸市と同県明石市が連携する対策協議会と協力し、駆除だけでなく、水辺の生態系の保全も推進している。
河川の駆除だけでは限界があり、池と同時に実施することで効果が高まることも最近分かってきた。
「生物の境界が乱れると、健全な地球の進化が維持できなくなる。水族館の知識やノウハウを生かした研究が、行政の政策を後押しする。一つの連携の形として根付き、発展していけば」と亀崎は力を込める。(敬称略)
2019/6/8男の料理教室や建物再生 須磨ニュータウンであれこれ取り組み2019/8/3
「若々しいイメージ」 須磨ニュータウンの呼び名に反応さまざま2019/8/3
須磨ニュータウン、何故“ニュータウン”? あくまで俗称2019/8/3
春は桜、秋は紅葉 学校敷地に自慢の「森」 神戸・飛松中2019/8/2
実はICタグで効率化 JR神戸貨物ターミナル駅へ潜入!2019/8/1
福島の児童ら神戸でキャンプ 須磨の民家でゲームや夕食楽しむ2019/7/31
古い住宅をリノベーション シェアハウスで活性化 神戸・須磨2019/7/29
板宿の市場で「はじめてのおつかい」 女性運営するレンタルスペース2019/7/28
さながら“学校”のよう 神戸最大規模の横尾老人クラブ 2019/7/27
妙法寺に変わった言い伝え 那須与一に関わるその意味とは2019/7/26
安全守る機動隊の最前線に密着 新人記者も訓練体験2019/7/25
就労支援事業所が運営のうどん店 障害者と支援員で生み出す活気2019/7/24
多世代の交流目指す老人ホーム 神戸・須磨の「きらくえん」2019/7/23
菓子で人生を豊かに パティシエの西川健司さん 神戸・須磨2019/7/23
大学生グループがマンションで野菜販売 5年後に本格事業化へ2019/7/19
ICTですべてが変わった神戸・若草小 児童にも好評価2019/7/20
たどり着けない? 須磨の名所「白川の夫婦岩」2019/7/18
高齢読者らの安全をポストで確認 本紙名谷中央専売所2019/7/17
神戸・須磨の“桃源郷” 先祖代々の土地守る稲作農家2019/7/15
昼はカフェ、夜は居酒屋に“変身” 高齢者ら集う福祉施設の喫茶スペース2019/7/14
記念の銘板や時計 世界の青春伝える“遺構”とは 須磨2019/7/13
震災乗り越え親子3代で紡ぐ歴史 神戸新聞名谷北専売所2019/7/12
待機電車や懐かしの車両も 名谷車両基地の写真映えスポット2019/7/11
「めったに見られない」地下鉄支える車両基地に潜入 神戸2019/7/10
鉄道模した名物カレー、レシピ引き継ぐ 店内には模型も 神戸2019/7/8
“名谷人”のソウルフード トミポテの魅力って何?2019/7/7
日本で唯一、地下鉄と新幹線の“交差点” 神戸・須磨2019/7/6
ここにもあった「BE KOBE」 市営地下鉄・名谷駅前広場2019/7/5
マンション群を移動する八百屋 神戸・北落合2019/7/4
須磨マンスリーのPRイベント開催 神戸発のアイドルグループも登場2019/7/2
豊かな自然と素敵な“イチオシ”3店 神戸・多井畑で街歩き2019/7/1
学校名の“台”過去に論争? 神戸・須磨の高倉台小と高倉中2019/6/30
土日は光景一変 六甲全山縦走路ルートの高倉台近隣センター2019/6/29
まるで地下につくられた神殿? 神戸開発支えた須磨ベルトコンベヤ跡地2019/6/28
本紙掲載「須磨マンスリー」1日、PR催し2019/6/28
山が歩んだ海への道 「須磨ベルトコンベヤ跡地」をたどる2019/6/27
大半は業務用 スーパーで目にすることない「須磨海苔」とは2019/6/26
幻の社交場、藤田ガーデン 神戸・須磨にあったその面影探る2019/6/25
職人の気概感じる曲線建築 北須磨小の円形校舎2019/6/24
須磨を移動する謎のゴリラ? 正体は海賊船のクルー2019/6/22
巣鴨にも負けない高齢者らの“聖地” 須磨寺の「大師縁日」2019/6/21
存亡の危機、歴史ファンに人気「敦盛そば」 神戸2019/6/20
きつね、一の谷、須磨離宮前 新聞配達員泣かせる“須磨の坂”2019/6/19
くだらないことをまじめに sumagine生みの親2019/6/18
一人でステージ完結 各所にひっぱりだこな須磨のスター2019/6/17
神戸研究や英語の合唱も 須磨学園中・高が文化祭2019/6/16
東北支援へ石巻のワカメ販売 滝川中・高で学園祭2019/6/16
モルガンお雪も住んだ「異人山」 当時の灯籠、今も2019/6/15
魚は増えているが閉園状態 須磨海づり公園の今をレポート2019/6/14
「心揺さぶられる体験できる」 すまうら文庫運営の林さん2019/6/13
「乗り心地の悪さが評判」 日本で唯一の「カーレーター」乗ってみた2019/6/12
イルカ人工授精で妊娠5カ月 スマスイ、出産までシュミレーション重ねる2019/6/11
須磨の海、生態系豊かに スマスイ園長が“里海”づくり2019/6/9
アカミミガメ増加に危機感 スマスイが独自の取り組みで警鐘2019/6/8
ナスの腰掛けや毎月変わる御朱印 ユニークな須磨の綱敷天満宮2019/6/7
地中海の海底から発見?紀元前5世紀作? 謎多い森の中のポセイドン像2019/6/6
須磨海岸で地引き網漁に挑戦 豊富な種類に小学生歓声2019/6/5
何これ?置物たくさん 神戸・須磨寺「おもろいもん巡り」2019/6/5
楽しんで仏教触れて 催しで地域交流 神戸・須磨寺2019/6/4
趣向凝らして国際交流 「スマプラ!」立ち上げ人の高橋さん2019/6/4
法話の技競う 丹波篠山・長楽寺住職がグランプリ 神戸・須磨寺2019/6/3
「自殺思いとどまった」YouTubeで法話配信 神戸・須磨寺2019/6/2
芭蕉も渋った? 敦盛の笛「高すぎる拝観料」 現代では無料に2019/6/1
1100年超の歴史持つ須磨寺、正式名称は上野山福祥寺2019/5/31