須磨マンスリー
神戸の物流拠点「JR神戸貨物ターミナル駅」(神戸市須磨区大池町5)は、年間20万トン以上の荷物を受け入れているという。人手不足の深刻化などで、運送業界がコストの上昇にあえぐ中、鉄道による効率的な輸送に注目が集まっている。けれど、貨物駅って一体どんな所なのだろう。記者が現場をのぞき見しました。(津田和納、川村岳也)
JR神戸貨物ターミナル駅に着くと、二つずつ積まれたコンテナが、東西に広がる長さ約400メートルのホームいっぱいに、ずらりと並んでいた。トラックがひっきりなしに出入りし、コンテナを持ち上げたフォークリフトが行き交う。機械が活発に動き回る一方で、人の姿はまばらだ。
「実はIC(集積回路)タグで作業が効率化されており、ホームに人はあまりいません」と堀壮太郎駅長(46)。各コンテナに付けられたICタグには、いつ、どの列車で運ばれるかがデータ化されており、載せるホームの位置も決まっているという。
フォークリフトには、読み取り・通信装置が設置され、運転士は操縦席のパソコンを見ながら荷物を移動させて積み込む。載せる貨車やトラックなども、画面が指示してくれる。「間違えるとエラーが出るので、ミスはありません」と堀駅長が胸を張る。
同駅は2003年12月、JR西日本鷹取工場跡地に建設された。以前は、神戸港第四突堤北側に「JR貨物神戸港駅」があったが、阪神・淡路大震災後、神戸市の区画整理事業に伴って現在の神戸貨物ターミナル駅に機能を移転させた。
午後4時11分、姫路貨物駅(兵庫県姫路市)発吹田貨物ターミナル駅(大阪府吹田市)行きの貨物列車が入ってきた。荷台に何も載っていない貨車が目立つ。到着から50分以内に、コンテナ11個を下ろし、44個を積み込んで出発させるのが今回の“ミッション”だ。
フォークリフトが一斉に慌ただしく動き始め、列車からコンテナを下ろしたり、新たな荷物を積み込んだり。荷物の多くは製鉄会社の鋼材で、他には小麦粉や菓子類なども。約30分後には貨車が満たされ、職員2人はコンテナが固定されているか、車輪に異常がないかを確認していった。
同5時2分、先頭の機関車がうなるような音を出して動き出した。荷物は大阪を経由し、関東や北陸地方に送られる。神戸貨物ターミナル駅を発着する列車は1日14本程度。堀駅長は「列車の輸送は、災害時のルートとしても注目されています」と話す。神戸港の運営会社「阪神国際港湾」と連携し、陸揚げした輸入コンテナを鉄道で運ぶ実証実験も始まっているという。
また輸送コストや二酸化炭素排出量の削減に向け、企業が連携し、積載量が少ないトラックから、一度に大量に運べる鉄道に切り替える「モーダルシフト」も始まっている。堀駅長は「道路渋滞の緩和につながり、環境にも優しい。貨物輸送の伸びしろを感じる」と前を見据える。
アナログで武骨なイメージの貨物列車だったが、意外にもデジタル化が進んでいた。刻々と変化していく日本の輸送に思いをはせながら、駅を後にした。
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