須磨マンスリー
平安時代から続く伝統行事「追儺式」で有名な妙法寺や、源平合戦で弓の名手として名をはせた那須与一ゆかりの北向八幡神社、秋の七草・ハギで知られる明光寺(萩の寺)(神戸市須磨区)など三木街道(兵庫県道神戸三木線)沿いには由緒ある社寺が点在する。中でも本紙妙法寺専売所長の藤本寿雄さん(67)のお薦めは、同神社の西側にある「那須与一宗高公御墓所」だ。そこには「参拝するとシモの世話にならない-」という何とも不思議な言い伝えがあるという。(千葉翔大)
与一は、1168年に下野国(現在の栃木県)で生まれた。10歳で弓を射る才能を開花させ、12歳の時、源義経から源氏入りの打診を受けた。5年後、屋島の合戦で平家方の扇に弓を命中させた逸話で知られる。
藤本所長に、与一の墓を管理する妙法寺協議会会長の藤井一成さん(72)を紹介してもらい、一緒に墓を訪ねた。
60段余りの石段を上ると天井に献燈の赤提灯が並ぶ御堂が現れた。この中にある五輪塔が与一の墓だ。藤井さんが遺言の記された本を見せてくれた。そこにはこう書かれている。
今日まで親身に手厚い看護を受け、ありがたく思う。その恩を返せぬまま、別れることは心苦しいが、皆がこのような病を患わぬように見守っている。
与一は34歳で出家し、源平合戦で亡くなった武士を弔う旅に出たという。その道中、脳血管障害である「中風」を患い、ここ妙法寺地区で病床に伏した。村人の懸命な手当てもむなしく、息を引き取ったという。
半身不随になり、シモの世話を受けていた与一。藤井さんは「村民らが自分と同じにならないように、との強い思いを抱き死んでいったのでは」と説明する。臨終を見届けた者が最期の姿を各地に伝えたことから、「シモの世話をかけずに往生できる」との口碑になったとみられる。
9月7日の与一の命日や月命日、初詣などの節目には、下着にはんこを押してもらったり、お守りを買い求めたりする人であふれていたが、阪神・淡路大震災以降は、その数も少なくなったという。
墓所が公開されるのは現在、月命日の7日のみ。五輪塔を前に、与一の晩年の様子に思いをはせ、その場を後にした。
2019/7/26男の料理教室や建物再生 須磨ニュータウンであれこれ取り組み2019/8/3
「若々しいイメージ」 須磨ニュータウンの呼び名に反応さまざま2019/8/3
須磨ニュータウン、何故“ニュータウン”? あくまで俗称2019/8/3
春は桜、秋は紅葉 学校敷地に自慢の「森」 神戸・飛松中2019/8/2
実はICタグで効率化 JR神戸貨物ターミナル駅へ潜入!2019/8/1
福島の児童ら神戸でキャンプ 須磨の民家でゲームや夕食楽しむ2019/7/31
古い住宅をリノベーション シェアハウスで活性化 神戸・須磨2019/7/29
板宿の市場で「はじめてのおつかい」 女性運営するレンタルスペース2019/7/28
さながら“学校”のよう 神戸最大規模の横尾老人クラブ 2019/7/27
妙法寺に変わった言い伝え 那須与一に関わるその意味とは2019/7/26
安全守る機動隊の最前線に密着 新人記者も訓練体験2019/7/25
就労支援事業所が運営のうどん店 障害者と支援員で生み出す活気2019/7/24
多世代の交流目指す老人ホーム 神戸・須磨の「きらくえん」2019/7/23
菓子で人生を豊かに パティシエの西川健司さん 神戸・須磨2019/7/23
大学生グループがマンションで野菜販売 5年後に本格事業化へ2019/7/19
ICTですべてが変わった神戸・若草小 児童にも好評価2019/7/20
たどり着けない? 須磨の名所「白川の夫婦岩」2019/7/18
高齢読者らの安全をポストで確認 本紙名谷中央専売所2019/7/17
神戸・須磨の“桃源郷” 先祖代々の土地守る稲作農家2019/7/15
昼はカフェ、夜は居酒屋に“変身” 高齢者ら集う福祉施設の喫茶スペース2019/7/14
記念の銘板や時計 世界の青春伝える“遺構”とは 須磨2019/7/13
震災乗り越え親子3代で紡ぐ歴史 神戸新聞名谷北専売所2019/7/12
待機電車や懐かしの車両も 名谷車両基地の写真映えスポット2019/7/11
「めったに見られない」地下鉄支える車両基地に潜入 神戸2019/7/10
鉄道模した名物カレー、レシピ引き継ぐ 店内には模型も 神戸2019/7/8
“名谷人”のソウルフード トミポテの魅力って何?2019/7/7
日本で唯一、地下鉄と新幹線の“交差点” 神戸・須磨2019/7/6
ここにもあった「BE KOBE」 市営地下鉄・名谷駅前広場2019/7/5
マンション群を移動する八百屋 神戸・北落合2019/7/4
須磨マンスリーのPRイベント開催 神戸発のアイドルグループも登場2019/7/2
豊かな自然と素敵な“イチオシ”3店 神戸・多井畑で街歩き2019/7/1
学校名の“台”過去に論争? 神戸・須磨の高倉台小と高倉中2019/6/30
土日は光景一変 六甲全山縦走路ルートの高倉台近隣センター2019/6/29
まるで地下につくられた神殿? 神戸開発支えた須磨ベルトコンベヤ跡地2019/6/28
本紙掲載「須磨マンスリー」1日、PR催し2019/6/28
山が歩んだ海への道 「須磨ベルトコンベヤ跡地」をたどる2019/6/27
大半は業務用 スーパーで目にすることない「須磨海苔」とは2019/6/26
幻の社交場、藤田ガーデン 神戸・須磨にあったその面影探る2019/6/25
職人の気概感じる曲線建築 北須磨小の円形校舎2019/6/24
須磨を移動する謎のゴリラ? 正体は海賊船のクルー2019/6/22
巣鴨にも負けない高齢者らの“聖地” 須磨寺の「大師縁日」2019/6/21
存亡の危機、歴史ファンに人気「敦盛そば」 神戸2019/6/20
きつね、一の谷、須磨離宮前 新聞配達員泣かせる“須磨の坂”2019/6/19
くだらないことをまじめに sumagine生みの親2019/6/18
一人でステージ完結 各所にひっぱりだこな須磨のスター2019/6/17
神戸研究や英語の合唱も 須磨学園中・高が文化祭2019/6/16
東北支援へ石巻のワカメ販売 滝川中・高で学園祭2019/6/16
モルガンお雪も住んだ「異人山」 当時の灯籠、今も2019/6/15
魚は増えているが閉園状態 須磨海づり公園の今をレポート2019/6/14
「心揺さぶられる体験できる」 すまうら文庫運営の林さん2019/6/13
「乗り心地の悪さが評判」 日本で唯一の「カーレーター」乗ってみた2019/6/12
イルカ人工授精で妊娠5カ月 スマスイ、出産までシュミレーション重ねる2019/6/11
須磨の海、生態系豊かに スマスイ園長が“里海”づくり2019/6/9
アカミミガメ増加に危機感 スマスイが独自の取り組みで警鐘2019/6/8
ナスの腰掛けや毎月変わる御朱印 ユニークな須磨の綱敷天満宮2019/6/7
地中海の海底から発見?紀元前5世紀作? 謎多い森の中のポセイドン像2019/6/6
須磨海岸で地引き網漁に挑戦 豊富な種類に小学生歓声2019/6/5
何これ?置物たくさん 神戸・須磨寺「おもろいもん巡り」2019/6/5
楽しんで仏教触れて 催しで地域交流 神戸・須磨寺2019/6/4
趣向凝らして国際交流 「スマプラ!」立ち上げ人の高橋さん2019/6/4
法話の技競う 丹波篠山・長楽寺住職がグランプリ 神戸・須磨寺2019/6/3
「自殺思いとどまった」YouTubeで法話配信 神戸・須磨寺2019/6/2
芭蕉も渋った? 敦盛の笛「高すぎる拝観料」 現代では無料に2019/6/1
1100年超の歴史持つ須磨寺、正式名称は上野山福祥寺2019/5/31