買い物客でにぎわう魚の棚商店街=明石市本町1
買い物客でにぎわう魚の棚商店街=明石市本町1

 年の瀬が押し迫り、兵庫県明石市本町1の魚の棚商店街周辺は、正月用の食材などを買い求める人らでにぎわっている。店頭には縁起物の「にらみ鯛」や煮物用の野菜などが並び、店主らの威勢のいいかけ声が飛び交っている。(新田欧介)

 同商店街近くの焼き魚専門店「魚秀」では、正月三が日は食べずに眺めるという風習が由来のにらみ鯛づくりが本格化。今年は31日までの5日間、早朝から計約5千匹を焼く。

 天然や養殖のタイに1匹ずつ丁寧に串を打ち、化粧塩を施してから、尾が跳ねるように整形して40分かけて焼き上げる。同店の三好規之社長(68)は「タイがあるだけで、食卓の華やかさが増す。お客さんにはおいしく食べて、いい新年を迎えてほしい」と話す。店頭販売は31日の午前5時~午後4時半まで(31日は完売するまで)。

 色鮮やかな大漁旗が飾られた商店街の店頭には、正月の定番の数の子やブリ、里芋やレンコンなどがずらり。「煮物にするとおいしいですよ」「刺し身にどうですか」などと店主らが呼び込んでいた。

 年末に次男が帰省するという同市大久保町駅前の豊岡愛子さん(81)は「普段は車いすで外出しにくいので、商店街に来られて楽しい。焼き鯛や食材を買って準備したい」と笑顔。家族で訪れた同町松陰の青柳剛さん(62)は「お目当てのかまぼこが買えて一安心。年末年始は家族でゆっくり過ごしたい」と話した。

 「買い物だけでなく、商店街の写真を撮って交流サイト(SNS)に上げるなどして楽しんでほしい」と魚の棚東商店街振興組合の安原宏樹理事長(53)。今年一年については「物価高をはじめ、イカナゴやタコの不漁、夏場の暑さなど苦しさを感じることが多かったが、コロナ禍からの客足の回復や日本初の女性首相の誕生など、世の中の停滞感から抜け出したようにも感じた」と振り返った。