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慣れ親しんだイザナギの衣装に身を包む石上颯一さん=伊弉諾神宮
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慣れ親しんだイザナギの衣装に身を包む石上颯一さん=伊弉諾神宮

 兵庫県淡路市多賀の伊弉諾神宮が、夜の静寂に包まれる。闇を突き刺すように竜が舞い、イザナギ、イザナミの2神が日本列島を生んでいく。淡路島、四国、隠岐の島…。島々を演じる子どもたちの動きに、淡路市の専門学校生石上颯一さん(19)が目を光らせる。毎月22日の夜に奉納する「国生み神楽」。石上さんは小学3年から取り組み、今は裏方として支えている。

    ◇

 国生み神楽は、古事記の編さんから1300年となる2012年に合わせ、その前年に住民グループ「くにうみ神話のまちづくり実行委員会」が創作した。プロ舞踊家の表博耀さんが監修し、国生みのシーンは地元の子どもたちが演じている。

 創設メンバーは4~11歳の9人で、石上さんも加わった。「神話や神楽のことなんて分からなかった。仲の良い友達が入ったから」という理由だった。最初の役は体が大きい、という理由で本州に決まった。数回の練習を経た2カ月後、同神宮の「三大神話神楽祭」で初舞台に立った。「拍手がうれしい。楽しい」と感じて続けた。

 中学生になり、イザナミ、イザナギと重要な役が与えられるにつれ、表さんからの指導は熱を帯びた。「姿勢や動きを細かくチェックされ、怒られてばかり。泣きながら練習した」と振り返る。思春期。神楽から離れる子どもが多い中、歯を食いしばった。

    ◇

 高校1年の時、実行委のメンバーと広島県安芸高田市で毎年開かれる「神楽甲子園」を視察した。国内の神楽が伝承されている地域から高校生が集まり、稽古の成果を競い合っていた。完璧な所作と、表現力に目を見張った。

 「レベルが違う。ショックだった。自分の神楽は生ぬるい気がして恥ずかしかった。同時に、興奮して元気をもらった」

 舞台を終えた高校生と意見を交わし、「何十年、何百年の伝統を背負っている」と、歴史の重みを感じた。淡路の歴史を積極的に学ぶようになり、練習の意識も高まったという。

 裏方は高2から。魅力を発信するホームページやフェイスブックを始めた。神戸市内の専門学校へ自宅から通いながら神楽に関わる。「ここにしかない神楽を伝え続ける。真っすぐな思いで技術を磨き、歴史を刻む」と地元愛を語る。(内田世紀)

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