日本一の生産量を誇る淡路島の線香にほれ込み、フランスで魅力を広げる調香師がいる。有名ブランドの商品を手がけるダニエル・ペシオさん(54)。パリ五輪が開かれた今夏まで現地で香りと現代アートの融合をテーマにした美術展に出品した。9月に来日し、淡路島を訪れたペシオさんに、展示の狙いや淡路線香の可能性を取材した。(有島弘記)
■魅力拡大へ、兵庫県線香協同組合とタッグ
パリ郊外にある修道院跡の美術館。会場の入り口に香炉が置かれ、週替わりで香りが異なる線香に火がともされた。「香りをきっかけに五感を刺激し、作品を見てもらうことがテーマだった」とペシオさん。来館者や現地メディアの評価も高かったといい、学芸員のシャントルー・デュプレ・エリーズさん(27)は「人が通ることで香りが巡り、一度として同じ匂いがない。それ自体がアート」と称した。