のじぎく賞を受けた上口貞雄さん=洲本署
のじぎく賞を受けた上口貞雄さん=洲本署

 海に転落した男性を救助したとして、兵庫県洲本市の上口貞雄さん(80)に、県の善行賞「のじぎく賞」が贈られた。

 上口さんは2月21日、友人と海釣りに出かけたが、釣果が上がらず、早めに切り上げて、午後5時ごろに洲本港へ帰港。すると、海の中から人の声が聞こえた気がして、「のぞき込むと、船と船の間に男性が浮いていた」。

 男性は口元まで沈んだ状態で、とっさに棒の先端にかぎのついたボートフックを手に取ると、襟首に引っかけた。海面は低く、引き上げることはできなかったが、「顔が沈まないようにしようと思った」。

 友人が通報すると、男性に「頑張れ、もう少ししたら助けが来る」と声をかけ続けた。約10分後、消防隊員が到着。「随分長く感じたが、助かってほしい一心で手に力を入れていた」と振り返る。

 男性は60代で釣りをしていて誤って転落。真冬の海に2~3時間漬かっていたとみられ、低体温症で約2週間入院したが、命を取り留めた。

 県警洲本署で賞を伝達された上口さんは2日ほど前に、洲本港で男性と偶然会ったといい、「『元気になったか』と声をかけた。助かってくれて良かった」と笑顔で話した。(古田真央子)