神戸市北区で2010年10月、高校2年生の堤将太さん=当時(16)=が刺殺された事件で、殺人罪に問われた当時17歳の被告の男(30)の弁護人は27日、懲役18年を言い渡した一審神戸地裁判決を不服として控訴した。男は今月あった裁判員裁判の公判で、堤さんを刺したことは認めたが殺意を否認。弁護側は、善悪の判断能力などが低下した心神耗弱の状態だったと主張していた。
控訴を受け、堤さんの父敏さん(64)は神戸新聞の取材に「判決で反論できないほどの結論が出たのに、何を争点にしたいのか。(被告が)反省しておらず、罪悪感がないことがより分かる対応だと思う」と話した。
判決によると、被告の男は10年10月4日午後10時45分ごろ、神戸市北区筑紫が丘4の路上で、堤さんを折り畳み式ナイフ(刃渡り約8センチ)で複数回突き刺すなどし殺害した。約11年後の21年8月に兵庫県警に逮捕された。
殺意を否認した男に対し、一審判決で丸田顕裁判長は「殺意は明白」と指摘。「精神障害はない」として完全責任能力も認定した。量刑については、弁護側は事件当時の(改正前の)少年法が適用され「懲役15年が上限」と訴えたが、裁判長は「法律を正しく解釈すれば、上限20年は明らか」と退けていた。