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ドラマの長女役は加藤治子。「尊敬する先輩と同じ役ができてうれしい」と話す小泉今日子(引地信彦さん撮影)
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ドラマの長女役は加藤治子。「尊敬する先輩と同じ役ができてうれしい」と話す小泉今日子(引地信彦さん撮影)

 没後40年を経てなお読み継がれている脚本家・エッセイストの向田邦子。その代表作「阿修羅(あしゅら)のごとく」が新たに舞台化される。4人姉妹の長女・綱子役は、「子どもの頃から向田作品に憧れていた」という小泉今日子。演じることで「リアリティーのある、どきっとするようなせりふや展開が書かれていて、成熟した世界だと改めて感じた」と魅力を語る。(田中真治)

 「阿修羅-」はNHKで1979年に3話、翌年に続編4話を放送。ホームドラマに、当時はタブー視されていた性のテーマを持ち込んだ、挑戦的な作品だ。老境に入った寡黙な父親の浮気疑惑を発端に、4人の娘たちの不倫や恋愛にまつわる心の揺れが、悲喜劇として描かれる。

 「ビデオもなかったのに鮮明に覚えているくらい、衝撃的だった」と小泉。向田が飛行機事故で亡くなったのは、82年のデビューの前年。「会えていたかもしれないと、悔しい気持ちになった」と言うほど思いは深い。

 2003年に映画化され、舞台化は3度目。今回は倉持裕の脚色、木野花の演出で、姉妹以外の登場人物やシーンを大幅に整理しているが、「せりふのいいところがうまく書いてあり、面白く見てもらえる」と太鼓判を押す。

 次女役の小林聡美とは17歳で出会って以来の仲で、三女役の安藤玉恵、四女役の夏帆とも過去に共演。「みんな気心が知れている」と話すように、配役にこだわった向田も納得するであろう、個性的な面々がそろった。「ドラマや映画のキャストを追わずに、この4人だとどんな芝居になるかという作り方」から生まれる姉妹像に期待が膨らむ。

 小泉自身は3人姉妹の末っ子。「きょうだいって、親とも友達とも違う特別な関係で、けんかをしても必ず元に戻れる。向田さんはやっぱり、それをうまく書いている」

 綱子たちは性格や生き方の違いをのみ込み、ぶつかり合いながらも、お互いをいとおしむ。

 「きっと向田さんの中にもこの4人が混在していたと思うし、私にもそれぞれの細胞が生きているような感じですね」

 兵庫公演は10月8~10日、西宮市の県立芸術文化センター。配信を予定。キョードーインフォメーションTEL0570・200・888

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