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松永貴志さん
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松永貴志さん
原田紀子さん
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原田紀子さん
広瀬未来さん
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広瀬未来さん
北村英治さん
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北村英治さん
小曽根真さん
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小曽根真さん

 今年4月、神戸でプロのジャズバンドが演奏して100年の節目を迎える。日本を代表する演奏家5人の目にジャズの街・神戸の風景はどのように映っているのか。昨年の「歴史編」に続く「演奏者編」初回では、それぞれがジャズの魅力や、神戸での思い出について語ってくれた。2回目(5日付)以降は、5人の言葉を詳しく紹介する。

     ◇     ◇

■ピアノ・松永貴志さん 未完成さ受け入れる土壌

 神戸でジャズが100年も愛されているなんて、すごい。僕なんか今年でメージャーデビュー20年と、まだ5分の1です。100年前の日本のジャズは、未完成だったと思います。神戸はそうした未熟なものでも受け入れる、おおらかな土壌がある気がします。挑戦者を温かく迎え、支えてくれる感じがして、本当にいい街。時代とともに変化し続けるのがジャズで、未完成か完成したものかが、全てじゃないんです。一番大事なのは、ミュージシャンの伝えたい思いが強いかどうか。そう信じて、記念の今年も曲を届けます。

【まつなが・たかし】1986年、芦屋市生まれ。13歳でジャズピアノの巨匠ハンク・ジョーンズに絶賛され、17歳でアルバム「TAKASHI」でメジャーデビュー。18歳で名門ブルーノートの最年少リーダー録音記録を樹立して全米デビューした。東京都在住。

■ボーカル・原田紀子さん 明るい港町に合うリズム

 神戸ジャズストリート(1982年開始)にはラジオ関西に勤めていた初回から出演しています。当初は出るのも楽しかったのですが、クラリネットの北村英治さんら東京の名高いミュージシャンが見られるのがぜいたくで、ライブをはしごしたのが思い出です。神戸は港町なので開放的で明るいしジャズのリズムに合うので、100年も愛されたのかなと感じます。イベントも多くて、私のジャズ人生を育んでくれた大切な場所です。これからも港町に似合う心地よいメロディーで、スイング感のある曲を神戸で歌い続けたい。

【はらだ・のりこ】1940年、明石市生まれ。関西学院大に入学し、軽音学部へ入部。64年、ラジオ関西に入社。トーク番組などを手がける傍ら、ライブハウスにも出演していた。2000年に退職し、歌手に専念した。関西ジャズ協会副会長。神戸市東灘区在住。

■トランペット・広瀬未来さん 歴史を紡いだ先人に感謝

 神戸という街だから、僕はスタートダッシュが切れました。高校1年から神戸ジャズストリートに出演し、フリーパスをもらって、いろんなミュージシャンを見ました。高2ごろ、ジャズストの後、ジャズライブ・レストラン「SONE(ソネ)」で、名だたる人のセッションに入れてもらい、すごく優しくしてもらって。いい思い出です。神戸ジャズが100年続いているのはすごいですね。街で盛んに演奏されているのは、先人のミュージシャン、スタッフ、イベントを計画する人たちのおかげで、感謝しています。

【ひろせ・みき】1984年生まれ、神戸市東灘区出身・在住。甲南高校・中学校(芦屋市)在学中にブラスアンサンブル部でトランペットを始める。2003年からニューヨークで活動し14年帰国。なにわジャズ大賞など受賞。大阪音楽大などで後進を指導する。

■クラリネット・北村英治さん 理屈じゃなくて心と体で

 神戸で演奏するのが大好きなんですよ。カップルがふっと自然に踊り出す。サンフランシスコみたいに。日本だと神戸だけじゃないかなあ。理屈じゃなく、心と体で楽しんでくれる。こちらも「いい音出したいな」って一生懸命やるから、相乗効果でいい演奏ができる。神戸にジャズが入って100年。たいへんな長さです。私がどう頑張っても93歳ですから。神戸、兵庫県の皆さんに育ててもらったのが日本のジャズ。この先も応援団でいてください。長生きして大事に演奏していきたいな。うんと楽しい音をお届けしたいです。

【きたむら・えいじ】1929年、東京生まれ。慶応義塾大在学中にクラリネットを学び、51年にプロデビュー。57年、ベニー・グッドマンと共演。温かく深い音色が魅力で、77年以降、米国のモントレージャズ祭に19回出演。2007年、旭日小綬章。東京都在住。

■ピアノ・小曽根真さん 底無しの明るさ楽しんで

 神戸でジャズピアニストをしていた、おやじ(故・実さん)の練習に連れられて聴いた古典的なジャズ・ディキシーランドが、音楽の原点です。子どもの頃からディキシーを聴いて育ちました。底無しの明るさがあり、聴いた瞬間にスピリットがアップリフト(高揚)する。戦後、敵国だった米国の音楽にもかかわらずディキシーが神戸、日本で広がったのは、無条件に楽しめる音楽だからだと思うんです。僕自身、どんなに複雑な音階やリズムを使っても楽しむことが音楽の条件。ディキシーで習ったことは全てのステージにつながっています。

【おぞね・まこと】1961年、神戸市中央区生まれ。83年にバークリー音楽大ジャズ作・編曲科を首席で卒業し、全世界デビュー。ソロやビッグバンドで活躍し、ゲイリー・バートンら世界的なプレーヤーと協演。近年、クラシックにも取り組む。2018年、紫綬褒章。

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