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映画「SHE SAID」の一場面((C)Universal Studios. All Rights Reserved.)
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映画「SHE SAID」の一場面((C)Universal Studios. All Rights Reserved.)

 2017年、米ニューヨーク・タイムズ紙の女性記者2人が大物映画プロデューサーによる性的暴行やハラスメントを告発。これを機に「私も被害者」と連帯する女性たちの声が世界に広がった。「#MeToo」運動だ。本作は2人の回顧録を基に、信念を貫くジャーナリストと、彼女らを信じて一歩を踏み出す被害者の物語。今、理不尽なハラスメントに直面する全ての人に大きな勇気を与えてくれる。

 ジョディ・カンター(ゾーイ・カザン)とミーガン・トゥーイー(キャリー・マリガン)はトランプ大統領の不正行為や、アマゾンの過酷な労働実態を暴くなど、調査報道で業績を積んできた。2人は話題作を連発するプロデューサー、ハーヴェイ・ワインスタインが長年、性的暴行を重ねているといううわさを聞き、新たに調査を開始する。

 30年前にさかのぼって被害者、関係者に聞き取り、ワインスタインの会社の法的記録やメールなど、当たれる限りの情報を集め、悪行を暴いていく。辛抱強く真実に迫る2人を前に、最初は固く口を閉ざしていたサバイバー(被害者)たちも語り始める。

 取材場面に派手さはない。証言や記録が淡々と積み上がっていくだけ。実際の2人もきっとこうだったのだろうと思わせる。

 ワインスタインの顔や、性暴力行為そのものは映像化しない、抑えた演出が逆に事の重大さ、ワインスタインの横暴、彼をのさばらせてきた業界や男社会の矛盾を浮き彫りにする。

 ジョディとミーガンは決して完全無欠な記者ではない。トランプ支持者からの脅迫におびえ、出産後のうつに悩む母親でもある。この大仕事を成し遂げたのは、2人が正義のヒロインだったからではないということが、観客にとって大きな希望になる。

 一つの報道が世論を大きく動かすことがある。同じジャーナリズムの世界に身を置く者として、その可能性を今後も信じたい。そう強く思わせてくれる作品でもあった。

 キノシネマ神戸国際などで公開中。

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