文化

  • 印刷
2022年5月に開催されたカミングコウベのステージ。新型コロナウイルス禍の影響で例年の4分の1に規模を縮小した=神戸メリケンパーク(一般社団法人COMING KOBE実行委員会提供)
拡大
2022年5月に開催されたカミングコウベのステージ。新型コロナウイルス禍の影響で例年の4分の1に規模を縮小した=神戸メリケンパーク(一般社団法人COMING KOBE実行委員会提供)
募金箱に寄付をする来場者ら=2022年5月、神戸メリケンパーク(一般社団法人COMING KOBE実行委員会提供)
拡大
募金箱に寄付をする来場者ら=2022年5月、神戸メリケンパーク(一般社団法人COMING KOBE実行委員会提供)
カミングコウベの意義について語る風次さん=神戸市中央区琴ノ緒町、ライブハウス「太陽と虎」
拡大
カミングコウベの意義について語る風次さん=神戸市中央区琴ノ緒町、ライブハウス「太陽と虎」

 そこは神戸のロックの祭典、そして「神戸からの恩返し」のステージ-。「COMING KOBE(カミングコウベ)」が今年も5月27、28日に神戸市内で開催される。阪神・淡路大震災から10年の2005年に始まって以来、入場無料を貫く日本最大級のチャリティフェスだ。カミングコウベについて2回に分けて報告したい。

     ◇

 震災を熱く語るアーティスト、声をからし募金への協力を呼びかける学生ボランティア、被災した神戸の街の写真パネル…。カミングコウベは全国に数多ある音楽フェスとは一線を画している。阪神・淡路大震災を語り継ぎ、被災地を支援し、神戸の魅力を伝えることが最大のテーマだ。

 会場には「減災ヴィレッジ」というスペースがある。「震災、減災・防災について一人でも多くの人に考えるきっかけをつくろうと、カミングコウベが大切にしているテーマを形にした場所」。実行委員長で、神戸・三宮のライブハウス「太陽と虎」の店長、風次さん(43)が語る。

 昨年は、水害などで汚れた写真をきれいにして持ち主に返すボランティア活動、東北の被災地にライブハウスを設立するプロジェクト、人と防災未来センターなどの展示ブースが並んだ。

 募金箱に寄せられたお金やリストバンドの売り上げは毎年、東日本大震災や熊本地震の被災地などに送っている。昨年までの総額は約7700万円に上る。

■登竜門

 カミングコウベの運営は企業からの協賛金や出店料、オフィシャルグッズの販売収入、助成金などでまかない、地元の学生や市民らがボランティアとなって支えている。

 コロナ禍前までは例年約2万人が来場し、120~130組のアーティストが無報酬でステージに上がった。若手バンドの登竜門的なフェスになっており、神戸で結成された「フレデリック」や、関西学院大学軽音楽部出身の「キュウソネコカミ」などの人気バンドも、元はカミングコウベの小さなステージからスタートし、メインステージまで上り詰めた。

 風次さんは「ライブハウスでいろいろなバンドを見ながら、1年を通してカミングコウベの出演者を考えている。その上で、酒を酌み交わすなどして趣旨を伝え、出演してもらっている」と話す。

■罪悪感

 「復興に頑張ってくれた先輩たちのために、僕たちはこの震災を忘れず次の世代に伝えなければならない」と語っていた前実行委員長の松原裕さん。19年、腎臓がんのため、39歳の若さで亡くなった。

 松原さんは神戸市北区に生まれ、中学3年の時に被災。大きな被害は受けなかった。高校でバンドを組み、20歳でCDデビュー。全国を回る中で「神戸から来た」と言うと、「震災の時は大丈夫だった?」と優しくされた。「大変でした」。思わず答えたが罪悪感が募った。「ツアー終了後、両親や先輩バンドに震災当時の話を聞き、多くの苦労と支援のありがたみを知った」。ただ、「恩返し」の方法は見いだせずにいた。

 転機は03年1月。神戸のライブハウスで共に働いていた風次さんと、神戸市長田区の南駒栄公園で開かれたイベントに足を運んだ。02年にメジャーデビューし、破竹の勢いで青春パンクブームをリードしていた神戸の人気バンド、ガガガSPの無料ライブ「弱男の夕」。風次さんは「あの時の経験がカミングコウベを始めるきっかけになった」と振り返った。

【ふうじ】1979年尼崎市生まれ。バンド活動を経て、神戸のライブハウスで働き、2010年設立の太陽と虎で現在まで店長を務める。19年からカミングコウベ実行委員長。神戸市兵庫区在住。

文化フェス主義!尼崎話題
文化の最新
もっと見る
 

天気(9月6日)

  • 34℃
  • ---℃
  • 0%

  • 35℃
  • ---℃
  • 0%

  • 35℃
  • ---℃
  • 0%

  • 37℃
  • ---℃
  • 0%

お知らせ