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藤井虹太郎
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藤井虹太郎
渡邊紗蘭
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渡邊紗蘭
浜地真聖
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浜地真聖
池内響
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池内響
竹田理琴乃
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竹田理琴乃

 クラシック音楽の若手演奏家を対象にしたコンクール「第25回松方ホール音楽賞」の授賞式と記念コンサートが2月4日、神戸新聞松方ホール(神戸市中央区東川崎町1)で開かれる。ピアノ、バイオリン、金管楽器、声楽(オペラ)の4部門に97人が応募。昨年8月の選考会で、音楽賞5人と奨励賞1人が選ばれた。次代を担う俊英を紹介する。

 新型コロナウイルスの影響により、2020年は音楽賞が中止。21年に第24回の選考会はあったが、22年の授賞式と記念コンサートは中止となり、3年ぶりの開催となる。このため、第24回の受賞者のうち希望者5人が出演。いずれもバイオリン部門音楽賞の青山暖(のん)と落合真子、いずれもピアノ部門奨励賞の中谷彩花、宇賀治晴香、池内堯(たかし)も演奏を披露する。

 午後3時開演。一般千円、学生500円。同ホールTEL078・362・7191

=敬称略=

音に「暖色」増やしたい 金管(トランペット)・藤井虹太郎

 フランスの作曲家トマジの名曲「トランペット協奏曲」を選考会で演奏した。「音を外しやすく、難しい曲」だが、曲の流れを大切にし、栄冠を手にした。

 岡山県出身。小学校3年のとき、姉が入っていた吹奏楽部に入部した。トランペットを吹くと音が出たので、挑戦してみようと思った。

 勉強はあまり好きではなかった。トランペットはうまくできれば褒められ、先生や周りに期待される。吹くと気持ちよく、のめり込んだ。

 高校まで住んだ岡山を離れ、京都市立芸術大音楽学部へ進学した。昨春からNHK交響楽団による若手育成のアカデミーに在籍し、学びを深める。

 転機は2021年、日本音楽コンクールで1位になったこと。受賞記念の演奏会に続き、NHKのラジオ番組にも出演するなど、活躍の場が広がった。

 コロナ禍で十分な活動ができず、コンクールで上位に入れないなど、苦しんだ時期があった。心の支えとなったのが、祖母の存在だった。亡くなる直前まで演奏会には必ず見にきて、応援してくれた。「苦しくなると、祖母へ届くように演奏した」という。

 今の自分の色は「冷たい色で、青系」。理性的で技巧的な演奏と分析する。今後は「暖色」を増やし、心を温め、感動してもらえるような音色を奏でたい。「トランペットに助けてもらった。それを忘れず、謙虚に生きたい」

 京都市在住。22歳。

一瞬で引き込む演奏を バイオリン・渡邊紗蘭

 「賞を取ろうというのではなく、自分にとって一番いい演奏をしたい」。ハンガリーの作曲家バルトークのバイオリン協奏曲第2番など、「激しくて体力がいる曲」を響かせた。純粋な思いが、初出場での松方ホール音楽賞に結実した。

 3歳の頃、クラシック好きの母の勧めでバイオリンとピアノを始めた。ビブラートがかかり、音が伸びていく…。オーケストラの花形、バイオリンに引かれ、練習を重ねる。「自分の技を見せられる」ことに夢中になった。

 西宮市出身。同市立大社中を卒業後、東京音楽大付属高校に進んだ。2018年、全日本学生音楽コンクール大阪大会で1位に耀く。地元兵庫でも姫路パルナソス音楽コンクール2位など、活躍してきた。

 東京では寮住まいで、「学校で夜まで練習できる」環境の中、音楽一色の日々を過ごす。西宮にいた頃、親が練習へ送り迎えしてくれたことなどを思い出し、「ありがたみが身に染みています」。

 モーツァルトやベートーベンといった古典は「聴きやすいし、心地いい」。一方、バルトークやストラビンスキーなども「宇宙のような壮大さや不思議な世界に連れて行ってくれる」と感じる。

 東京音楽大への進学を予定する。座右の銘は「努力すれば必ず報われる」。「弾き始めた一瞬で、引き込まれるような演奏ができるようになりたい」と笑顔を見せた。

 東京都豊島区在住、18歳。

部門最年少挑戦実る 金管(トロンボーン)・浜地真聖

 選考会で奏でたのは、ベルギーの作曲家アッペルモントの「カラーズ」で、色を題材にした作品。「以前から憧れ、初めてコンクールで演奏した。トロンボーンの魅力を引き出してくれる」。「自分にとって難しい、挑戦的なもの」だったので、「まさか音楽賞に選ばれるなんて」と驚いた。金管楽器部門では過去最年少の音楽賞となった。

 大阪府豊中市出身。小学校の吹奏楽部時代は、チューバを手にしていた。中学に入るとチューバの空きがなく、父から「トロンボーンもいいのでは」と薦められ、その魅力に出合った。

 中学2年からは豊中市青少年吹奏楽団へ。高校は通信制を選び、音楽がしやすい自由な環境で過ごした。昨年退団し、フリーになった。関西トロンボーン協会ヤングアーティスト部門1位に輝くなど、受賞歴は多い。

 中学生の頃から聴いていた米国出身のトロンボーン奏者・ジョセフ・アレッシに憧れる。「技術が高く、全ての音がベストの状態」と絶賛し、目標にする。

 トロンボーンは「声に近い楽器」と言う。トロンボーン奏者が、オペラのアリア(独唱曲)を吹くと、素晴らしいとか。

 直線的な形の楽器だから「息をまっすぐ入れる」ことを心がける。「自分の気持ちの動きを大切にし、音楽を通して聴衆に伝えたい」。記念コンサートは「自分らしさを出す」と意気込む。

 兵庫県猪名川町在住。19歳。

長身生かした迫力の歌 声楽(バリトン)・池内響

 記念コンサートで、モーツァルトのオペラ「ドン・ジョバンニ」と、ベルディのオペラ「ドン・カルロ」の歌曲を披露する。バリトンで、181センチの長身を生かした迫力ある演奏が持ち味。「私自身が持つ色や可能性を見せたい」

 姫路市出身で、高校時代に声楽を学び始めた。東京芸術大声楽科に進学したが、体を張った表現が苦手で、「オペラは恥ずかしかった」。苦手を克服しようと、同大学院でオペラを専攻。「ドン・ジョバンニ」の主役を務め、大きな拍手を受け、「歌で表現するのは楽しい」と魅力を体感した。自信がついた。

 卒業後はオペラの本場・イタリアへ留学。同国のコンクールで優勝するなど、「音楽だけの毎日で、幸せだった」。コロナ禍もあり2020年に帰国、21年から東京を拠点に活動する。

 地元にも熱い視線を注ぐ。21年12月、姫路市文化コンベンションセンター「アクリエひめじ」のオープンを記念した新作オペラ「千姫」で、姫路城主・本多忠刻の父・忠政を演じた。父親役なので「独身の自分にできるだろうか」と不安もあったが、「新作は楽しく、地元の活性化にも役立った」と満足できた。

 オペラはイタリアなど原作国の言語が基本だが、「日本語のオペラでファンの裾野を広げたい」。「地声で人間的な力強さを感じられるのがオペラ」とし、「自分は『池内響』という世界で唯一の楽器。そのブランドを確立したい」。

 東京都豊島区在住。34歳。

確かな腕と胆力で栄冠 ピアノ・竹田理琴乃

 選考会では、大雨の影響で特急が止まり、居住する金沢市から東京経由で6時間以上かけ来神した。思わぬトラブルに見舞われたが、集中力は切らさなかった。個性をきらめかせ、洗練された演奏を披露。その胆力はショパンの聖地ワルシャワで培われた。

 姉の影響で4歳からピアノを習い、全日本学生音楽コンクール全国大会高校の部で1位に輝いた。高校卒業後、ポーランドのショパン音楽大学に留学し首席で卒業。「海外暮らしの中で日本では考えられないようなハプニングがあった。今思えば良い経験ができ、人間的に少しはレベルアップできたんじゃないかな」。2015年と21年にはショパン国際ピアノコンクールに参加し、大舞台での経験を積んだ。

 新型コロナウイルス禍は自分を見つめ直す機会になった。「世の中は大変な状況だけれど、私が目指すところは一つ。いかに良い音楽をつくり上げるか」。奥深いピアノの世界で表現に日々迷いながらも「人前で演奏する、何にも代えがたい喜びがあるからこそ頑張れる」と強い意志を持つ。

 受賞には「手応えは全然分からないけれど、本当にうれしく光栄」。記念コンサートでは、ラヴェルの管弦楽のための舞踏詩「ラ・ヴァルス」を披露する。「華やかなワルツからどんどん崩壊していく狂気感、悲痛な叫び、光と闇が混ざり合ったような複雑な心境を音で伝えられるように、大切に演奏したい」と奮い立つ。29歳。

奨励賞「第2の声」で思い表現 バイオリン・窪田隼人

 兄の習い事を見て、4歳からバイオリンを始めた。音を出すことさえ難しかったが、「上達していくと楽しくなり、やりがいになった」という。

 中学生で兵庫県立芸術文化センターが拠点の「佐渡裕とスーパーキッズ・オーケストラ」に入団した。東日本大震災の被災地を訪れ、演奏すると、「涙を流して聴いてくださる被災者がいた」と話す。佐渡さんから「音楽は空腹を満たすわけではないが、心のよりどころや力になる」と聞き、素晴らしさを実感した。

 大阪府立夕陽丘高校音楽科を卒業し、東京芸術大器楽科へ。全日本学生音楽コンクール高校の部2位の実績がある。

 選考会では、「洗練されたバッハの曲」という、無伴奏バイオリンパルティータ第3番を弾いた。「息が上がり、結構緊張した」が、熱意を保ちつつ、心を落ち着けることを心がけた。

 「バイオリンは第2の声で、いろんな美しい音を出せる。それを使い自分の思いを表現したい」と記念コンサートに臨む。

 東京都台東区在住、20歳。

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