文化

  • 印刷
「最初は自分一人でカメラを持ってフーさんにインタビューすることから始めた」というワン監督(本人提供)
拡大
「最初は自分一人でカメラを持ってフーさんにインタビューすることから始めた」というワン監督(本人提供)
映画の一場面((c)Wan-Jo Wang)
拡大
映画の一場面((c)Wan-Jo Wang)

 台湾映画界で40年以上、音響効果技師を務めてきた男性に密着したドキュメンタリー映画「擬音 A FOLEY ARTIST」が25日~3月3日、神戸市中央区元町通4、元町映画館で上映される。監督はこれが長編2作目のワン・ワンローさん。「音」を通して台湾映画の歴史もたどる。

 台湾の撮影所、中央電影公司で約千本の映画に携わり、2017年にはその功績から台湾のアカデミー賞といわれる映画賞「金馬奨(きんばしょう)」で同年度台湾傑出映画製作者に選ばれたフー・ディンイーさんと撮影所仲間を追う。

 フーさんは、先に撮影が終わった映像を見ながら足音、きぬ擦れの音、戸の開け閉めなど、日常生活のさまざまな音を、「こんな物を使って?」というような道具で作り出す。映像と音を合わせた完成作を見ると自然に生まれた音にしか聞こえないのが不思議だ。「フーさんを通して、映画における『音』がいかに大切か、身をもって知った」とワン監督は言う。

 台湾、香港では1980年代まで、画面に顔を出す俳優ではなく、吹き替え専門の俳優がアフレコでせりふを入れていた。そうした陰の存在のインタビューも加えた。

 また、カンフー映画が主流だったころはアクションの効果音が最重要視され、それ以外の音はじゃまだとされたという内幕も紹介する。

 80年代後半には台湾ニューシネマの旗手、ホウ・シャオシェン監督らが台頭。「映画における音の役割が明らかに変化した」とワン監督。それが現在にどうつながっているのか、台湾のほか香港、中国の撮影所にも足を運び、音響技師に取材した。

 自分の仕事は「橋渡し」とワン監督。「音響という仕事の魅力、吹き替えの歴史をいかに観客に伝えるか」という思いが制作の原動力だったと振り返る。

 本作の後に台湾の漫画家の半生を追うドキュメンタリーを発表、「次はドラマを手がけたい」と準備にかかっている。「デジタル化によってフィルム時代以上にセンスと能力が求められる」と感じている。

 元町映画館TEL078・366・2636

文化神戸
文化の最新
もっと見る
 

天気(10月22日)

  • 19℃
  • 14℃
  • 60%

  • 19℃
  • 14℃
  • 30%

  • 17℃
  • 12℃
  • 60%

  • 18℃
  • 13℃
  • 50%

お知らせ