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コートを翻し踊るジュリアン・ソレル(礼真琴)=大阪市、梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ
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コートを翻し踊るジュリアン・ソレル(礼真琴)=大阪市、梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ
テーブルの上で派手に歌い、踊るジュリアン・ソレル(礼真琴、右)と歌手のジェロニモ(暁千星)=大阪市、梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ
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テーブルの上で派手に歌い、踊るジュリアン・ソレル(礼真琴、右)と歌手のジェロニモ(暁千星)=大阪市、梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ
愛を確かめ合うジュリアン(右、礼真琴)とルイーズ(有沙瞳)=大阪市、梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ
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愛を確かめ合うジュリアン(右、礼真琴)とルイーズ(有沙瞳)=大阪市、梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ
陪審員の前で自身を弁護するジュリアン(右、礼真琴)を見守るマチルド(詩ちづる)=大阪市、梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ
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陪審員の前で自身を弁護するジュリアン(右、礼真琴)を見守るマチルド(詩ちづる)=大阪市、梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ
物語を展開するストーリーテラー、ジェロニモ(暁千星)=大阪市、梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ
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物語を展開するストーリーテラー、ジェロニモ(暁千星)=大阪市、梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ

 宝塚歌劇団星組によるロック・ミュージカル「Le Rouge et le Noir~赤と黒~」が21日、大阪・梅田芸術劇場シアター・ドラマシティで始まった。野心あふれる青年ジュリアン・ソレルをトップスター礼真琴(れい・まこと)が熱演。円熟味を増した歌と芝居で、奥行きのある人間像を描き出した。

 星組の次の宝塚大劇場公演「1789」や、礼のトップお披露目公演「ロックオペラ モーツァルト」を手がけたフランスのプロデューサー、アルベール・コーエンの作品。19世紀フランスを代表するスタンダールの長編小説「赤と黒」を激しいロックナンバーで彩り、不朽の名作に新たな表情を与えた。潤色・演出は谷貴矢。

 持ち前の才気を生かして立身出世を目指すジュリアンは、ナポレオン時代は軍人を、王政復古の世になると聖職者を志す。家庭教師として雇われた町長家の人妻ルイーズ・ド・レナール(有沙瞳=ありさ・ひとみ)と不倫関係となるが、ルイーズは周囲に関係がばれるのを恐れ、冷たい言葉でジュリアンを突き放す。

 傷心を抱えてパリに移り、侯爵の秘書の職を得たジュリアンは、令嬢マチルド(詩=うた=ちづる)と引かれ合う。マチルドの妊娠をきっかけに結婚。望んでいた地位と名誉を手に入れたかと思われたが…。

 厳しい階級社会にあっても、恋愛で時代を生き抜こうとする、いかにもフランスらしい物語。躍動感あふれるメロディーに乗せて、登場人物が心情をあけすけにぶちまける。

 大工の息子に生まれたジュリアンは、自分を見下すブルジョアに対する怒りを隠さない。人を利用して成り上がろうとするさまは、明るさとさわやかさが持ち味の礼のイメージと対極だが、そのギャップが意外で面白い。2人の女性との恋の駆け引きや愛憎を歌いあげるジュリアンの視線は伏し目がちながら常に鋭く、歌声も激しい。終始、抑制の効いた表現で内に怒りを秘めた陰のある青年を演じきり、役に説得力を持たせた。

 ジュリアンの友人ジェロニモ(暁千星=あかつき・ちせい)がストーリーテラーとなり、劇中劇の形で物語が進行する。ジュリアンが陰ならば、暁が演じるジェロニモは陽の存在。狂言回しとして伸び伸びと舞台を駆け回り、得意のダンスで観客を引きつける。貞淑で信心深いルイーズが、自身の罪で心乱れる様子を有沙が好演。幼さの残るマチルドが大人の女性に成長する過程を詩が演じきった。

 複雑なコード進行、調の展開と楽曲の難度は高いが、礼は高音から低音まで自在に操り、危なげなく歌いこなす。歌が巧みな演者ぞろいでコーラスにも厚みを持たせ、出演者が総勢22人とは感じさせない。

 繰り返し見たいと思わせる作品であり、宝塚大劇場の星組次回作「1789」への期待が高まるばかりだ。29日まで。(小尾絵生)

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