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ドロイゼン家の長男ハインドリヒ(中央、彩風咲奈)、次男フランツ(右から2人目、朝美絢)ら5人兄弟は力を合わせ、鉄道事業の発展を目指す=宝塚大劇場(撮影・長嶺麻子)
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ドロイゼン家の長男ハインドリヒ(中央、彩風咲奈)、次男フランツ(右から2人目、朝美絢)ら5人兄弟は力を合わせ、鉄道事業の発展を目指す=宝塚大劇場(撮影・長嶺麻子)
経営する製鉄所で、職人と共にレール造りへの期待を膨らませるハインドリヒ(中央、彩風咲奈)ら=宝塚大劇場(撮影・長嶺麻子)
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経営する製鉄所で、職人と共にレール造りへの期待を膨らませるハインドリヒ(中央、彩風咲奈)ら=宝塚大劇場(撮影・長嶺麻子)
ハインドリヒ(左、彩風咲奈)は、エリーゼ(夢白あや)の支えを受け、鉄道事業の成功を目指す=宝塚大劇場(撮影・長嶺麻子
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ハインドリヒ(左、彩風咲奈)は、エリーゼ(夢白あや)の支えを受け、鉄道事業の成功を目指す=宝塚大劇場(撮影・長嶺麻子
レビュー「ジュエル・ド・パリ!!」で華やかなカンカンを披露した彩風咲奈(最前列右)と夢白あや(同左)=宝塚大劇場(撮影・長嶺麻子)
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レビュー「ジュエル・ド・パリ!!」で華やかなカンカンを披露した彩風咲奈(最前列右)と夢白あや(同左)=宝塚大劇場(撮影・長嶺麻子)
ヴィオレット(すみれ色)の衣装を身につけ、ラテンナンバーに乗せて踊る彩風咲奈(左から2人目)、夢白あや(同3人目)、朝美絢(左端)、和希そら(右端)=宝塚大劇場(撮影・長嶺麻子)
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ヴィオレット(すみれ色)の衣装を身につけ、ラテンナンバーに乗せて踊る彩風咲奈(左から2人目)、夢白あや(同3人目)、朝美絢(左端)、和希そら(右端)=宝塚大劇場(撮影・長嶺麻子)

 宝塚歌劇雪組公演「Lilac(ライラック)の夢路 ドロイゼン家の誇り」と「ジュエル・ド・パリ!! パリの宝石たち」が22日、宝塚大劇場(宝塚市栄町1)で開幕した。トップ彩風咲奈(あやかぜ・さきな)と新トップ娘役、夢白(ゆめしろ)あやの本拠地お披露目公演で、第109期生の初舞台。若手の活躍目覚ましい雪組に、また新たな風が吹き込んだ。

 「ライラック-」は謝珠栄(しゃ・たまえ)が脚本、演出、振付を兼ねる。

 19世紀初頭のドイツ。貴族ドロイゼン家の長男ハインドリヒ(彩風)は、それぞれ職種の異なる兄弟5人で力を合わせ、鉄道産業を興そうと志す。だが一番信頼を寄せる次男で役人のフランツ(朝美絢=あさみ・じゅん)は、兄を尊敬しつつも向こう見ずなやり方に反発を強めていく。

 登場人物は多いが、それぞれのキャラクターが生き生きと描き出されていた。

 鉄道事業の実現に向けて一直線のハインドリヒを彩風が好演。明るく前向き、周囲を巻き込む力で、「何かを成し遂げるのでは」と期待を抱かせるリーダー肌の人物像を等身大で演じて見せた。

 一方、朝美演じるフランツは賢くて堅実、猪突(ちょとつ)猛進気味な兄のブレーキ役。カリスマ性のある兄に嫉妬心を抱くも、そんな自分を嫌悪する生真面目さがある。ハインドリヒとは対照的な性格を嫌みなく見せ、舞台に奥行きを生み出した。

 ヒロインのエリーゼ(夢白)は当時まだ女性はなれなかったバイオリン奏者を目指す勝ち気な少女で、ハインドリヒと引かれ合う。大きな夢にまい進するハインドリヒを精神的に支えようとする姿は、トップスターの相手役となったばかりの夢白自身に重なった。

 5人兄弟の亡き父親に関する悪しきうわさの謎解きが終盤の山。時折現れる「魔女」の妖しい歌とダンスが、狂言回しの役割も果たし、物語のアクセントとなっていた。

 振り付けに定評のある謝らしく、随所に印象的なダンスが盛り込まれた。製鉄所の職人による金づちを振り下ろすしぐさを取り入れたダンスや、通行人がただ歩くのではなく、跳びはねながら登場するなど、細部にまで気を抜かない細やかな演出が光った。

 レビュー「ジュエル・ドパリ!!」(藤井大介作・演出)では、第109期生39人(1人休演)が恒例のラインダンスに挑んだ。ミモザをイメージした黄色い衣装に身を包み、高くそろった足上げの動きで観客からは大きな拍手を受けていた。

 エッフェル塔や凱旋(がいせん)門など、パリの名所が次々に登場。「ベルサイユのばら」などパリにゆかりのある宝塚の演目の楽曲もふんだんに盛り込まれた。中詰めではヴィオレット(すみれ色)の衣装で激しいラテン調にアレンジした曲に乗せ、歌と踊りでぐいぐい迫る。

 内側にフリルがついたスカートで足をはね上げて踊る「カンカン」のシーンは雪組総出で盛り上げ熱気は最高潮に。夢白が娘役を引き連れて登場し、愛らしさがあふれ出た。

 宝塚のレビューには、やはりパリが似合う、そう思わせる盛りだくさんな舞台だった。

     ◇

 公演後、第109期生の3人が代表取材に応じた。

 主席入団の音綺(おとき)みあ=宝塚市出身=は「一度見たら目が離せなくなるような様々な表情ができる舞台人になりたい」と決意を語った。

 初舞台の感想を問われると、美鈴桜(みすず・さくら)は「大好きな憧れの舞台に立てて夢のよう」と声を弾ませ、早瀬まほろは「ラインダンス冒頭に顔を上げた瞬間、客席と彩風さんが見えて、夢のような光景だと涙ぐんだ」と振り返った。

 5月28日まで。6月17日~7月16日、東京宝塚劇場で上演。

(小尾絵生)

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