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「死んだ後も加筆したい」という八木淳一さんの願いを込めたインスタレーション。手前の色づいたガラス作品は柴山水咲さんが手がけた=神戸市中央区山本通3、KOBE STUDIO Y3
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「死んだ後も加筆したい」という八木淳一さんの願いを込めたインスタレーション。手前の色づいたガラス作品は柴山水咲さんが手がけた=神戸市中央区山本通3、KOBE STUDIO Y3
額装していない絵は未完成作。長年描き続けた作品が並ぶ=神戸市中央区山本通3、KOBE STUDIO Y3
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額装していない絵は未完成作。長年描き続けた作品が並ぶ=神戸市中央区山本通3、KOBE STUDIO Y3

 白と黒で見る者を精神の深淵(しんえん)に誘う画家八木淳一さん(70)=神戸市中央区=の個展「未完の刻(とき)」が、創作拠点とする同区山本通3の「KOBE STUDIO Y3」で開催されている。40年近く加筆し続ける油絵など約160点が並ぶ。(小林伸哉)

 高校を卒業後の1971年に初の個展を開いたが、その後、約20年間は色鉛筆の細密画などの表現を探究し、発表の場からは遠ざかった。84年ごろに油絵を再開し、妥協せず創作するうち、現在では未完成作が千点を突破。「出来の悪い子ほどかわいい」と手を入れ続ける。

 荒々しい波や渦、暗くうつろな目の人々、羽根の生えた男らを描く。「子どものころから、人間はすべて道化師だと思ってきた」といい、作品には生きる上での哀(かな)しみがにじむ。大樹のように見える未完成作には無数の人の顔が描かれ、鑑賞者に内省を促すかのようだ。

 「絵の存在意義は、見えないものを見えるようにすること」と八木さん。「作品が主人で、描くことは宿命」という。人骨模型が絵の前で筆を持つインスタレーションもあり「死んでからも描き続けたい、という執念です」と語る。

 27日まで。午前10時~午後7時。月曜休み。入場無料。KOBE STUDIO Y3TEL078・222・1003

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