「なんや、おまはんかいな」。そんなせりふが漏れそうになったのは、2月に天満天神繁昌亭(大阪市)であった第6回上方落語台本大賞の発表会見。佳作に選ばれた藤丸紘生さん(26)=兵庫県宝塚市=は何を隠そう、僚紙デイリースポーツの若手記者なのだ。会見では自作の話を自分で取材するという、驚きの二刀流。しかも入選は4回目で、昨年は大賞に輝いた。落語も書けば記事も書く。藤丸記者って何者?(田中真治)
「お笑いは好きでしたけど、落語には全く触れずに生きてきまして…」。どんなマニアかと思いきや、いきなり予想を裏切る答えが返ってきた。「(演芸番組の)『笑点』の大喜利を落語だと思ってる、典型的な一般人でしたね」
聞けば、出身は関西大の落語研究会。上方落語協会前会長の大御所・桂文枝さんらを輩出した名門だ。
「新歓活動に負け、半ば強制のような形で落研に。高校では放送部でラジオドラマを書いていて、演劇部にと考えていたのに、先につかまった」
そこで面白さに目覚めたかというと、これまたそうではないという。
「当時は運よく、落語をしたくない人はしなくていい時期で。全然知らないのにできるわけないし、あんな長いの覚えられへんし。落語会の会場を押さえるとか、裏方の仕事をするので勘弁してくださいと」
副部長まで務めながら、「1回も高座には上がってない」という異色の経歴。とはいえ、そこは門前の小僧というやつである。
「3年も半強制的に落語を聞いていると、素人なりに分かってくるじゃないですか。いい設定が思い浮かんで、ほんとに趣味で1本書いてみた」
◆
題名は「水に流して」。トイレの個室に駆け込んだ男が用を足し、安心するも紙がない。声をかけた隣の男も同様で、どっちが紙を取りに行くのか、へ理屈をこね合う-というネタだ。台本はできた。しかし自分ではやれない。そこでたまたま目にしたのが2017年、2年ぶりに復活した台本大賞。応募総数256作品から見事、佳作の一つに選ばれた。
「落語がめっちゃ好きで知識がないと通らんやろうと思ってたので、びっくりで。味をしめたところに、文枝師匠からも『どんどん書いてください』とお言葉をいただいて、次も出さんわけにはいかないなと」
諸事情で休学していた翌年、応募したのが「落としもの」。遺失物係の男の下に傘が届き、財布と封筒が続く。落とし物がしり取りになっていることに気づき、次を待っていると、封筒を探しに現れた妻と渡す渡さないでもめ、その中身を巡って夫婦の会話は意外な方向へ展開していく。
「めちゃくちゃ自信ありましたね。大賞いったやろと。だから『え、佳作?』って思いましたもん。これで佳作やったら、パターンを変えないとキツいかもしれないなと」
そこで始めたのが繁昌亭でのアルバイト。「半強制的に落語が聞けるのでは」という、前向きなのか後ろ向きなのかよく分からない思惑で、ようやく寄席に足を踏み入れた。
「実際は忙しすぎて聞けなくて。ネタづくりも試行錯誤期で、続けて落ちました。落語家さんにも、人見知りすぎてあまり話しかけられず…だめですよね」
◆
しかし、雌伏の2年間を経て昨年、ついに念願の大賞。受賞作の「追い込まれたエース」は、駐車違反が見つかった男がプロ野球のエースで、駐禁逃れの言い訳が伏線となり、その夜のヒーローインタビューが進行していく-というひねりを利かせた。
このとき既に、落語作家の実績をアピールし、内定をゲット。作家活動は「一区切りする気でいた」が、入社すると待ち受けていたのは思わぬ一言だった。
「上司に『頑張って続けてね』と言われてしまい、そうなると出さざるを得ないじゃないですか。仕事の合間を縫って書きました」
そして、三たびの佳作となったのが「記念品贈呈・10分」。結婚する娘からの手紙をひそかに待っている父親が、式のプログラムで記念品贈呈の時間が長すぎることに気づき、サプライズで手紙を読むに違いない-と思い込むところから、笑いが膨らんでいく。
「ほっとしたけど、また佳作かい、と。どうせなら優秀賞を取って(三つの賞を)コンプリートしたい。いうても、どハマりしている審査員がいるだけな気もするので、東京の台本募集でも入選したい」
今年1月からはエンタメサイト「よろず~ニュース」で活躍。「基本的に飽きっぽい」ので、記事と台本のスイッチを切り替えながら、キーボードをたたきまくる毎日だ。
◆
5月22日に繁昌亭である大賞発表落語会は、早々に完売する人気ぶり。選考委員長の文枝さんから藤丸作品に指名されたのは、実力派の桂吉弥さん。この会には初参加で「作者の名前に負けんよう頑張りたい」。文枝さんも「プロになってもおかしくない。こういう人が出てきたことで、落語の未来は明るくなった」と期待を隠さない。
次回の募集も4月にスタート。実は同賞には、上位入賞5回で「殿堂入り」した先達がいるという。
「僕ももう1回取ったら殿堂入りできるのか、基準は知らないけど、めっちゃ意識してて。20代のうちにというのが今の目標です」
きっとかなう、実力で。記者は記者でも、今はニュースサイトの記者。もはや、神(紙)頼みではありません。

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