日本芸術院は22日、芸術活動で優れた功績があったとして、作家の筒井康隆さん(89)や小川洋子さん(61)=西宮市在住、漫画家の萩尾望都さん(74)ら計12人を新会員に選んだと発表した。3月1日付で盛山正仁文部科学相が発令する。
ほかは書家土橋靖子さん(67)、美術家中谷芙二子さん(90)、ビオラ奏者今井信子さん(80)、作曲家野平一郎さん(70)、舞踊家の尾上墨雪さん(80)と宮城能鳳さん(85)、ダンサー勅使川原三郎さん(70)と舞台俳優樫山文枝さん(82)。バレリーナとして知られた舞踊芸術監督の吉田都さん(58)も選ばれた。
筒井さんは「時をかける少女」や「文学部唯野教授」といった数多くのヒット作を生み出した。小川さんは「博士の愛した数式」がベストセラーになるなど国内外で注目されている。
萩尾さんは「ポーの一族」などが代表作。2019年には女性漫画家として初の文化功労者となった。
新会員は、現役会員と外部有識者が候補者を選考し、現役会員の投票で選ばれる。会員の定員は120人で、今回の発令で109人となる。非常勤の国家公務員として国から年250万円の年金が終身支給される。
■一字一字歩んでゆく
【小川洋子さんのコメント】このたび日本芸術院の会員に選出していただき、いっそう真剣に小説に取り組んでいかなければという決意を固くしています。言葉にできない思いを言葉で書く。この矛盾に立ち向かってゆくことが小説の使命だと心に刻み、ゴールのないその先を目指して、一字一字歩んでゆく覚悟です。改めて、作家の原点に立ち返る機会を与えていただきましたことに、感謝申し上げます。
【小川洋子(おがわ・ようこ)】小説・戯曲。91年「妊娠カレンダー」で芥川賞受賞。07年から同賞選考委員も務める。23年日本芸術院賞。岡山県生まれ。