囲碁の第50期天元戦(神戸新聞社主催)5番勝負の第3局が9日、福岡県久留米市の久留米シティプラザで打たれ、午後4時54分、一力遼天元(27)=棋聖、名人、本因坊=が挑戦者の芝野虎丸九段(25)に222手までで白番中押し勝ちした。一力は対戦成績を2勝1敗とし、天元初防衛まであと1勝に迫った。
持ち時間各3時間のうち、残りは芝野1分、一力1分。第4局は28日に洲本市のホテルニューアワジで行われる。
第3局は序盤の競り合いの後、一力が右下一帯の黒模様に突入。芝野は黒115(9七)のツケなどで、下辺から中央に伸びる白の大石を攻め立てた。一力は白146(6十二)などで黒の包囲網を突破して安全を確保。ヨセに入り、左辺で白が得をしたことから一力が優勢となり、芝野は投了に追い込まれた。
解説の首藤瞬八段(42)は「大きな戦いが終わって細かいヨセ勝負になったが、最後に白が抜け出した」とし、立会人の坂口隆三・九段(75)は「2人の対局はいつも全局的な激戦になる。今回、どちらが勝ってもおかしくなかった。次局もいい戦いを期待したい」と話した。
一力遼天元の話 下辺を白58(10十四)とマゲたあたりは、流れとしては悪くないと感じていた。しかし白68(9十五)は感じの悪い打ち方。白148(6十三)とタケフで出て行くのは嫌な格好で、自信はなかった。白198(4八)とつなぐことができ、(勝ちが)残るかと思った。
芝野虎丸九段の話 序盤はあまり経験のない形で、善悪は分からない。相手の石を取りかけにいく形になったが、実戦のように地合い勝負の進行を考えていた。ヨセではやや厚いかなと感じていたが、白198(4八)のあたりではっきり悪くした。勝負どころでミスが出てしまった。