王位戦第2局の序盤の展開を解説する副立会人の船江恒平七段=15日午前、神戸市北区有馬町、中の坊瑞苑(撮影・小林良多)
王位戦第2局の序盤の展開を解説する副立会人の船江恒平七段=15日午前、神戸市北区有馬町、中の坊瑞苑(撮影・小林良多)

 将棋の「伊藤園お~いお茶杯第66期王位戦」(神戸新聞社主催)7番勝負の第2局で副立会人を務めるのは、「棋士のまち」を掲げる加古川市出身・在住の船江恒平七段(38)だ。1日目午前の対局を振り返りながら、本局の見どころを語ってもらった。

 今期の王位戦7番勝負は、藤井聡太王位(22)=竜王、名人、王座、棋聖、棋王、王将=に、永瀬拓矢九段(32)が挑戦中だ。永瀬先手番、「角換わり」の戦型だった第1局で「千日手」が成立。両者の対局でみると、5月の名人戦7番勝負第4、5局から3局連続の千日手となった。王位戦第1局は指し直しで先手となった藤井が制した。

 第2局も「角換わり」の戦型に。船江七段は「角換わりは千日手になりやすい」と指摘。「両者ともに妥協しない。2人とも局面全体をみて『一番最善の選択がなんなのか』というところで、千日手が続いている」と分析した。

 第2局の序盤、永瀬九段が後手番ながら中央から先に攻めようとした。この積極策について「かなりたくさん持ってきた作戦のうちの一つという感じを受ける。相手の反応を見ながら、少しずつ(戦術を)変えていっている」と解説した。

 第2局については「序中盤は、永瀬さんが戦略をどこまで用意してきたのか、すごく注目。終盤は、藤井さんの読みの深さに、永瀬さんがどこまで耐えられるかが見どころ」とした。

 シリーズ全体を見通し、「永瀬さんにとっては2局目が勝負どころ。ここで1勝1敗に戻せるかどうか。絶対に落とせない。『藤井さんとたくさん指したい』という印象を受けるので、7局目まで指すためにも、本当に勝負どころと思っているんじゃないかな」。

 将棋ファンに向け「終盤のねじり合い、プロ棋士の読みの深さを感じてほしい」と呼びかけた。

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 船江七段は、2010年に四段昇段。11年、第1期加古川青流戦で優勝。21年、公認会計士試験に合格し、今年4月から加古川市の監査委員を務めている。詰め将棋作家として、デイリースポーツで作品を出題している。

 インタビューを収録した動画では、自身が藤井王位や永瀬九段と対局した際の印象、尊敬する師匠の井上慶太九段(61)=加古川市在住=への思い、井上九段一門の近況なども語っている。(小林伸哉)

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