川崎重工業(神戸市中央区)が船舶用エンジンの燃費データを不正に書き換えていた問題を受け、国土交通省は22日、海洋汚染防止法に基づき、川重神戸工場(同)を立ち入り調査した。同工場は船舶用エンジンの製造拠点で、国交省は業務改善命令などの行政処分を視野に事実関係を確認する。
川重はエンジンを神戸工場で試運転した際、実際の燃費データとは異なる数値に書き換えていた。2000年1月以降に起工した船舶に搭載した674台のうち673台で改ざんしており、窒素酸化物(NOx)の排出量に影響を及ぼしている可能性がある。
国交省の職員4人が22日、神戸工場に立ち入った。国交省は「ユーザーの信頼を損ない、船舶の安全性能確保の観点からも極めて遺憾」としており、川重に対し、9月末までに詳細な調査結果と再発防止策を報告するよう求めている。
また国交省は川重に対し、対象のエンジンが海洋汚染防止法に基づくNOxの排出規制に違反している恐れがあるため、NOx規制の順守が確認されるまでの間、基準適合を示す証書を交付しない方針を伝えた。川重はこの間、エンジンの新規出荷ができなくなる。
船舶用エンジンの燃費データ改ざんを巡っては、今年4月以降にIHIと日立造船の各子会社でも発覚。IHIの子会社では、一部の出荷済みエンジンでNOx排出量基準を逸脱した製品が確認されており、国交省は基準内に改修するよう指示している。(石川 翠)