26日午後8時に投票が締め切られた神戸市長選で、無所属で現職の久元喜造氏は選挙期間中、神戸に隣接する明石市内で街頭演説をする場面があった。久元氏が、神戸市西区に住む有権者が利用するJR、山陽明石駅前に立つと、明石市の丸谷聡子市長も応援に駆けつけた。久元氏は演説で「前の市長とは話すらできなかったが、丸谷市長になって急速に連携が進んだ」と語り、泉房穂・前明石市長の在任時には見られなかった両市トップの協力関係をアピールした。
明石駅前で街頭演説をしたのは17日午前。明石市議会の自民会派の市議らも並んだ。先に演説した丸谷市長は「市長になって一番最初に取り組んだことは、神戸市と仲良くすること」と切り出した。
丸谷市長は、生物多様性の保全を目指す両市の協定締結や、神戸市西区と明石市を結ぶ新たな幹線道路の整備、11月16日に開催される神戸マラソンで明石市東部までコースが延伸されたことなどを紹介。「さまざまな社会課題を一緒に解決していきたい」と意欲を語った。
神戸市は芦屋、西宮、宝塚、三田、三木市、稲美町とも隣接するが、とりわけ明石市とは、子育て支援施策の充実で競い合ってきた過去がある。現在は参院議員に転じた泉房穂氏は明石市長時代に、神戸と比べて明石は子育てに関する費用がかからないと強力に発信。これに対し、神戸市も明石市内で子育て支援施策をアピールするポスターを貼るなど、両市は「対決姿勢」が鮮明だった。
丸谷市長に続きマイクを握った久元氏は、今年4月に海外5都市と結ばれた神戸空港国際化をPRし、明石市内の明石公園や市立天文科学館、魚の棚商店街に触れ、「明石には神戸とは異なる魅力がある。海外から訪れた人にぜひ感じてもらいたい」と呼びかけ、神戸空港を生かした明石の観光振興も訴えた。
久元氏はさらに、行政課題として、少子化や空き家の増加、インフラ老朽化への対策などを挙げ、「隣り合う都市同士が知恵を出し合い、政策能力を高めていくことが重要」と強調。「明石市の取り組みは大変進んでいる。市民意見の聞き方は勉強になる」と持ち上げ、一時期は市長が対立して見えた神戸と明石の「雪解け」を印象づけた。(若林幹夫)

























