内橋克人さんが心を寄せた作家城山三郎さん。「組織と個人」をテーマに多くの作品を出した=2007年2月、神奈川県茅ヶ崎市
内橋克人さんが心を寄せた作家城山三郎さん。「組織と個人」をテーマに多くの作品を出した=2007年2月、神奈川県茅ヶ崎市

 内橋克人が敬愛し、対話を重ねたのが5歳年上の作家城山三郎(1927~2007年)だった。伝記小説、経済小説の大家は若き日、少年兵として海軍に身を投じた際、幹部の腐敗を目の当たりにする。そして移動先で見た広島の原爆雲が「文学を志すきっかけになった」。終生のテーマが「組織と個人」だった。組織に虐げられない個人の生き方とは-。内橋の問題意識と軌を一にしていた。