神戸新聞NEXT
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 8日投開票の衆院選に関して神戸市内の街頭で有権者に意見を聞くと、「高市さんのおかげでガソリンが安くなった」との声が幅広い世代であった。高市早苗首相の就任から約2カ月後にガソリン税の暫定税率が廃止され、有権者にとって最も実感しやすい物価高対策になった。インターネットの交流サイト(SNS)でも同様の投稿が多く見られる。ただ、経緯を振り返ると、高市首相だけの功績とは言いがたい。

 ユーザーローカル社のSNS解析ツール「ソーシャルインサイト」で、「高市」「ガソリン」を含むX(旧ツイッター)の投稿数を調べると、公示の1月27日から1週間で2万5068件あった。

 街頭の声のように、ガソリン価格の下落を高市首相の成果と結びつける投稿が広がる一方、「野党が主張してきた成果」「少数与党の自民が押し切られた」と異議をはさむ投稿もある。

 暫定税率は半世紀以上前の1974年、当初は2年間の臨時措置として、道路などのインフラ整備のために導入された。

 ただ、その後は国土交通省職員の福利厚生などへの流用が判明し、無駄遣いの温床と批判された。2009年衆院選で、当時の民主党が暫定税率廃止を掲げて圧勝したが、政権交代後に減収分の財源が確保できず、税率は維持された。

 今回の廃止に向けた動きは、国民民主党が21年衆院選で暫定税率を取り上げたのが始まり。24年衆院選で同党が伸長し、少数与党になった当時の自公政権との3党で廃止を合意した。

 だが実施時期が決まらないまま、立憲民主党や日本維新の会などを含めた当時の野党7党が25年6月、廃止法案を提出。自民は採決を拒否し廃案にした。

 その後の参院選で、野党の多くは暫定税率廃止を公約に掲げ、自公政権は再び大敗。自民は態度を軟化させ、与野党6党は同年7月末、「今年中のできるだけ早い時期に実施する」と合意した。

 同年10月、高市政権が誕生すると、維新との連立政権合意書に廃止が明示された。与野党6党が年末での廃止に正式合意をしたのは、首相就任から半月後の11月5日。高市首相が廃止に積極的だったことで早期の実現につながった。

 ガソリンの暫定税率は1リットル当たり約25円。ガソリン価格の値下がりの背景には、政府が物価高対策として昨年6月から始めた1リットル当たり10円の補助を11月中旬から段階的に拡充したことに加え、世界的な原油相場の下落の影響もある。

 一方、1月の衆院解散で2026年度予算案の法案提出や審議が遅れ、成立が4月以降にずれこむ可能性が浮上。4月1日からの廃止が決まっている軽油の暫定税率は、先送りされる懸念も出ている。