外国人材の活用が進む中、近年は技能習得を目指す実習生だけでなく、高度な技術を持つITエンジニアなどにも活躍の場が広がっている。人手不足を理由とした倒産が増えており、産業の維持に外国人材は欠かせない。中小企業経営者は「彼らの技術力がなければ、日本で企業を成長させるのは難しい」と強調する。
北播磨の田園風景に、黒色を基調にした外観の工場が溶け込む。自動車部品メーカー田井鉄工(西脇市)が兵庫県多可町に構える拠点で、ミャンマー人女性のス・ピエ・ポンさん(27)は同僚とモニター画面に向き合っていた。
学生時代の短期留学以来、日本での就職を目指して言葉を習得した。2024年、エンジニアとして同社に入り、現在は経営企画室で社内システムの管理・運用や採用に携わる。
「時間や計画がきちんとしていて、ルールを守る日本の働き方や文化が好き」とポンさん。傍らでは、2カ月ほど前に来日した技術者が仕事の習得に励む。
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同社は1990年から日系ブラジル人や中国人の受け入れを始めた。同じころ、多くの製造業は安く、豊富な労働力を頼って海外に進出した。田井三治会長(70)は「海外に出ると技術移管に時間がかかる。国内で勝ち残る方法を考えた」と、外国人を招いて国内で生き残る道を選んだ。
10年ほど前からは、専門技術を持つエンジニアの雇用に力を入れる。現地の大学などと連携して日本語が話せる人材を受け入れ、ベトナムやミャンマー、スリランカ出身の約150人が在籍する。今や全従業員の3分の1を占め、生産技術や品質管理などあらゆる部門で活躍する。
3年前には人手不足に悩む県内企業にミャンマーの工業系大学卒業生を紹介する事業を始めた。約300人を紹介し、企業からの評判は上々という。
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厚生労働省によると、県内で働く外国人労働者は約7万7千人(2025年10月時点)と、10年前の3・8倍になった。人手不足が深刻な業種で即戦力を求める在留資格「特定技能」を国が設けた19年以降、伸びが拡大。近年は高度な知識を生かして専門職に就く「技術・人文知識・国際業務(技人国)」の割合が高まりつつある。
外国人を雇う県内事業所は1万2204カ所に上り、産業別では製造業が3割を占める。人手不足感は根強く、日銀神戸支店の調査では昨年、バブル期並みの大幅な不足超過が続いた。神戸商工会議所の昨年12月調査でも、8割の事業所が人手不足と答えた。
田井鉄工は外国人材の活用に自動車関連の受注好調が重なり、売上高はこの10年で約1・5倍に増えた。
田井会長は「省人化投資は大事だが、ものづくりには人が必要。彼らがいなければここまで成長できなかった」と振り返る。「国内で理系の社員を採用するのは非常に難しい。外国人材がいなければ、会社を残すために海外に出るか、事業を縮小するしかない」と話した。(横田良平)























