灘五郷の酒造会社、神戸酒心館(神戸市東灘区)は1日、安福武之助社長(52)が代表権のない会長となり、実弟の久保田博信副社長(50)が後任の社長に昇格するトップ人事を明らかにした。7月1日付。久保田氏に権限を集め、経営の意思決定を速める。(谷口夏乃)
神戸酒心館は、1751年創業の福寿酒造が前身。1995年の阪神・淡路大震災で全ての木造蔵を失い、被災した他の酒蔵と共同出資で96年に再始動した。
安福氏は2003年入社。伝統的な酒造りの責任者・杜氏(とうじ)の高齢化を受け、社員による製造への転換を進めた。海外輸出にも取り組み、自社銘柄「福寿」がノーベル賞授賞式後の公式行事で提供された。11年に社長就任。22年に日本酒の製造で初めて、醸造工程での二酸化炭素(CO2)の排出量を実質ゼロにするなど、サステナブル(持続可能)経営を進めた。
久保田氏は16年から副社長として、安福氏と二人三脚で経営のかじをとってきた。前職のホテル業界の経験を生かし、観光や食、文化体験を融合したブランド戦略を推進。ショップや料亭の運営、酒かすの活用、カクテルコンペの立ち上げなどを通じて日本酒文化の魅力発信に注力した。
安福氏は、取締役に就いている電炉大手の大和工業(姫路市)で7月から新たに、常務執行役員サステナビリティ経営推進部担当を兼ねる。異分野で環境負荷を下げながら経済価値を高める道を探る。
【くぼた・ひろのぶ】甲南大経済学部卒。98年ロイヤルホテル。05年に神戸酒心館入社。常務を経て、16年から現職。























