もっちり濃厚、ぜいたく感-。高付加価値路線のヨーグルトが人気を集めている。スイーツのような味わいや食感で、朝の食習慣から「ご褒美」的な楽しみ方へ。兵庫県内の企業が手がける大容量、高価格の「プレミアム」な商品も販売が伸びているという。(谷口夏乃)
キャップを回し、ニュッと押し出す。一般的なパックからスプーンですくうのではなく、アルミパウチの容器から絞り出したヨーグルトは、まるでソフトクリームのようだ。
■販売前は懐疑的な声も
総菜大手のフジッコ(神戸市中央区)が昨年9月に発売した「カスピ海ヨーグルト リッチモ」(900グラム、標準小売価格1026円)は、もっちり食感とミルク感を売りにする。ヨーグルト・デザート事業部リーダーの小橋いつこさんによると、水分を含んだ滑らかなプレーンヨーグルトと、水気を切って重量感のあるギリシャヨーグルトの中間を狙って企画開発した。「生乳の甘みを感じられるスイーツのような味わいを目指した」という。
若者を中心に濃厚なギリシャ系が好まれる一方、調査では「毎日食べるには重たすぎる」という声が少なからずあった。自社保有のカスピ海乳酸菌に2種の菌をブレンドして長時間発酵。口の中でふわりと溶ける「もっちりモフッとな新食感」に仕上げた。
容器は口栓付きのパウチを採用した。チャック式は「よそうときに手が汚れる」「スプーンの洗い物が増える」などの課題があった。口栓にすることで準備の手軽さを実現。横置きしても漏れず、冷蔵庫内のスペースを有効活用する「スペパ(スペースパフォーマンス)」も考慮した。
一般的なプレーンヨーグルトが400グラム入りで200~300円なのに対し、リッチモは内容量も価格も倍ほど。その異例さから、販売前に社内からは「誰がこんなの買うんだ」と懐疑的な声も出た。発売すると、今年3月までの半年間の販売量が計画を5割上回り、その後も順調な売れ行きが続いているという。30~50代の比較的若い世代の新規客も獲得。北海道工場(千歳市)で追加投資による増産を計画する。
■サブレと組み合わせて
調査会社インテージ(東京)の調べでは、2025年の固形ヨーグルトの市場規模(販売金額)は前年比4・7%増の3527億円で、23年から3年連続で拡大している。
このうちパウチタイプは54億円と構成比は小さいが、20年から約5倍に増加した。26年も8月時点で前年同期比1・6倍となっている。担当者は「食感や素材重視で大容量、高価格帯のプレミアムヨーグルトが人気。物価高による節約志向の中でも、ときには気分転換のためにちょっといい物を食べるメリハリ消費、プチぜいたくの需要を捉えている」とみる。
乳業メーカー、共進牧場(神戸市中央区)の「リッチ ザ ヨーグルト」も販売が拡大している。素材にこだわり、兵庫県産の生乳と北海道産生クリームを使用。濃厚さやかたさ、味を追求した。400グラム入りでオープン価格。同社によると、関西圏の実勢売価は400円前後という。
22年の発売後、「まるでクリームチーズ」と交流サイト(SNS)で口コミが広がった。購入者の間で、サブレと組み合わせてチーズケーキ的に楽しむなどのアレンジも生まれた。今年8月末までの累計販売数は380万個。24年に発売した砂糖不使用タイプも125万個売れた。今年も1~8月の販売数量が前年同期比で2割以上伸び、好調を保つ。
全国の量販店から取り扱いを希望する声が入り、小野市にある工場はフル生産状態。工場増築も予定し、中尾弘三取締役営業本部長は「現在の販売は関西が中心となっているが、製造体制が整えば全国へ広げたい」と話す。























